【顔面】症例17

【症例】60歳代 男性
【主訴】意識消失
【現病歴】旅行中。本日夜行バスの乗り場で、前のめりで転倒あり。意識消失時間は3分程度。
【身体所見】vitalに異常なし。脳神経学的所見に異常なし。左上眼瞼に皮下出血、腫脹あり。

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まず横断像から見てみましょう。

左中頭蓋窩に血腫を認めています。急性硬膜外血腫(もしくは硬膜下血腫)を疑う所見です。

また篩骨洞左側に高吸収があり、こちらも血腫の可能性があります。

左の眼窩内にairを認めています。また、眼窩内側壁に骨折を疑う所見があります。

先ほどの左中頭蓋窩の血腫にairがあり、気脳症を疑う所見です。

ということはこの辺りにも骨折があると推測されます。

次に骨条件を見てみましょう。

やはり左の側頭骨に骨折線があります。

また左の頬骨弓に2カ所骨折線を認めていますが、咬筋を圧迫するような骨の転位は認めていません。

thin sliceでないので少し見にくいですが、篩骨洞左外側壁(左眼窩内側壁)および左上顎洞外側壁に骨折線を認めています。

次に骨条件の冠状断像を見てみましょう。

冠状断像では、篩骨洞の上壁および左眼窩上壁にわずかな骨折線を認めています。

篩骨洞上壁では骨折部にわずかなairを認めています。

これらはいずれも頭蓋底骨折を示唆する所見です。髄液漏に注意が必要です。

 

診断:急性硬膜外血腫+多発骨(側頭骨骨折、頬骨骨折、篩骨洞骨折、眼窩上壁骨折)

 

※脳外科入院となり、保存的に加療されました。血腫の増大は認めませんでした。旅行中であり、10日後退院となり、自宅近くの病院へ紹介受診となりました。

【顔面】症例17の動画解説

お疲れ様でした。

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