【顔面】症例13

【症例】20歳代 女性
【主訴】意識障害
【現病歴】本日路上を自転車で走行中に後方から侵入してきた自動車と接触し転倒。後頭部を打撲し、直後より意識障害を認めたため救急搬送となる。
【身体所見】JCS-10、GCS E3V4M6(日付の誤りあり)、眼位:正中、瞳孔径:左右開大3.5mmm、対光反射:左右とも迅速、追視は緩徐ながら可能、明らかな眼球運動障害を認めず、右聴力低下の訴えあり。四肢に明らかな運動麻痺を認めず。

画像はこちら

右後頭部に気脳症を疑うairを認めています。

同部が受傷部で骨折があると推測されます。

反対の左側頭部には急性硬膜下血腫を疑う高吸収域を認めています。

左の急性硬膜下血腫を疑う所見に加えて、大脳鎌沿いにも急性硬膜下血腫および外傷性くも膜下出血を疑う所見を認めていいます。

また左のSylvius裂に高吸収あり、外傷性くも膜下出血を疑う所見です。

前頭葉脳底部がやや高吸収に見え、骨のアーチファクトと紛らわしいですが、冠状断で見ると脳挫傷もしくは急性硬膜下血腫であることが分かります。

この場所は、必ず冠状断像で確認することが重要です。

次に骨条件で見てみましょう。

右の乳突蜂巣に液貯留を認めています。

錐体骨の長軸に直交するような向きの骨折線があり、側頭骨の横骨折を疑う所見です。

また、他側頭骨には骨折複数あり、同部に気脳症を認めています。受傷部位と考えられます。

 

診断:急性硬膜下血腫、外傷性くも膜下出血、脳挫傷、右側頭骨・頭蓋骨骨折

 

※保存的に加療され、意識障害は消失しましたが、末梢性顔面神経障害に起因すると考えられる味覚障害、右顔面の発汗障害が残りました。外来でフォローとなり、退院となっています。その後、前頭葉脳挫傷で認めた高次機能障害はほぼ回復したものの味覚障害が残存しているとのことです。(ただし、画像での顔面神経走行路には明らかな骨折線などは認めません。)

関連:側頭骨骨折とは?症状、CT画像診断、治療法まとめ!

【顔面】症例13の動画解説


お疲れ様でした。

今日は以上です。

今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。