【顔面】症例11

【症例】30歳代 男性
【主訴】顔面打撲
【現病歴】本日昼頃、高速道路の交通事故の誘導の仕事中に、後ろから来たワンボックスカーと横から接触し受傷。近医搬送されるも、対応困難で当院搬送となる。
【身体所見】意識清明、バイタルに異常なし。右眉毛部に筋層まで達する7cm程度の挫滅創あり、右顔面全体に擦過創あり、右頬部に2cmの弁状創あり、眼瞼の腫脹著明で内出血あり、自動での開眼不能、眼球運動は外転と上転に制限あり、右方視と上方視で複視あり、右顔面全体にしびれ感あり、咬合に軽度違和感あり、開口制限はなし。

画像はこちら

まず頭部CTの横断像から見ていきましょう。

くも膜下腔に広範な気脳症を認めています。

骨折により頭蓋内と頭蓋外に交通があり、頭蓋外からairが入り込んだことが推測されます。

また右前頭部に高吸収域を認めており、急性硬膜下(or外)血腫を疑う所見です。

次に骨条件を見てみましょう。

右優位に上顎洞周囲の骨折を多数認めています。

右上顎洞前壁および外側壁に骨折を認めており骨の転位が著明です。

また右頬骨弓にも骨折線を認めています。

次に、眼窩・篩骨洞レベルを見てみましょう。

右優位に両側眼窩外側壁に骨折を認めています。

その他篩骨洞右外側壁(右眼窩内側壁)、蝶形骨洞に骨折線を認めています。

次に、さらに上のレベルの前頭洞レベルを見てみましょう。

前頭洞は前壁および後壁で骨折線を認めているだけでなく、前頭骨にも骨折線を認めています。

この辺りから頭蓋内にairが入り込んだことが推測されます。

前頭洞には液貯留を認めています。

また左頚動脈管に達する骨折線を認めていますが、頚動脈の損傷ははっきりしません。

また左外耳道前壁に骨折線があり、左外耳道の壁肥厚を認めています。

両側乳突蜂巣には液貯留を認めていますが、左側頭骨にはわずかな骨折線(縦骨折)を認めています。

次に冠状断像を見てみましょう。

著明な右眼窩底骨折があり、眼窩内容物が広範に逸脱していることが分かります。

また下直筋も本来あるべき位置よりもかなり下垂しています。

右眼窩周囲には多数の骨折線を認めています。

次に3D再構成画像を見てみましょう。

すると右顔面骨・頭蓋骨を中心に多数の骨折線を認めています。

顔面骨を横断する骨折としては、Le FortⅠ〜Ⅲ型に相当する骨折線を右側に認めていることがわかります。

 

今回の骨折をまとめてみますと、まず上に記載のあるすべての骨折を認めていることがわかります。

ZMC骨折は右側のみで認めています。

それらに加えて、

  • 右眼窩上壁骨折(頭蓋底骨折)
  • 前頭洞骨折(前壁および後壁)+前頭骨骨折
  • 蝶形骨洞骨折
  • 左頚動脈管に至る骨折線
  • 左側頭骨骨折(縦骨折)

を認めているということです。

 

診断:急性硬膜下(or外)血腫+多発顔面骨骨折(その詳細は上記の通りです(^_^;))

 

※急性硬膜下(or外)血腫があり、また頭蓋底骨折があり髄液漏の可能性があるということで、一旦脳外科入院で保存的加療がなされ、髄液漏が消失したあと、形成外科に転科し、顔面骨骨折整復固定術がなされました。

術後のCTの3D再構成です。

右顔面から正中の顔面骨・頭蓋骨を多数のプレートで固定されている様子がわかります。

 

関連:

【顔面】症例11の動画解説

お疲れ様でした。

今日は以上です。

今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。