
【症例】40歳代 女性
【主訴】頭部外傷
【現病歴】本日、自転車走行中に軽自動車と衝突し、受傷。救急搬送となる。
【身体所見】神経学的脱落症状なし。
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まずは横断像から見てみましょう。
右側頭骨に錐体骨の長軸に沿う方法に骨折線があり、縦骨折を疑う所見です。
また乳突蜂巣に一部液貯留を認めています。
左と比較すると右で乳突蜂巣は含気不良であることが明瞭です。
また左右差をよく見ると、ツチ骨とキヌタ骨の間に離開を認めています。
次に冠状断像を見てみましょう。
右で乳突蜂巣だけでなく、中耳・外耳道は含気不良で、液貯留を認めています。
外傷に伴う反応性の液貯留が疑われます。
左と比べると右ツチ骨・キヌタ骨間に離開を認めており、耳小骨離断が疑われます。
診断:右側頭骨骨折(縦骨折)+ツチ骨・キヌタ骨離断疑い
※保存的加療となり、疼痛など改善しましたが、受傷数日後より遅発性に右末梢性顔面神経麻痺を来しました。点滴治療され、今後手術治療も考慮の上、外来で経過観察となりました。
解離と読むのですね、勉強になりました。難聴を認めていなかったので異常と考えず、ツチ骨とキヌタ骨の間に液体が入り込んでいるのかと考えました。
アウトプットありがとうございます。
>難聴を認めていなかったので異常と考えず、ツチ骨とキヌタ骨の間に液体が入り込んでいるのかと考えました。
関節間が開いており、ice cream dipとも呼ばれることがある所見ですね。
右内耳道が拡大しているように見え聴神経鞘腫があるか?とも思いました。しかし遅発性の顔面神経麻痺が点滴加療されたとのことで違うのでしょうね。この人は両方とも内耳が太いのでこんなものかとも思ってしまいます。いろいろな骨折パターンに触れられてありがたいです。
アウトプットありがとうございます。
聴神経鞘腫の有無はCTではなくMRIでないと厳しいことが多いですね。
外傷直後に認める顔面神経麻痺よりも遅発性の方が治療効果は高いようですね。
液貯留以外わかりませんでしたが、用意していただいた画像構成から「きっと耳小骨に何かあるんだろうな」とズル読影をしてやっと気付けました。
アウトプットありがとうございます。
>液貯留以外わかりませんでしたが、
特に外傷の場合は、これに気づくことが骨折があるのでは?と疑うきっかけになりますので、耳小骨はさておき、側頭骨骨折に気づきたいところですね。