【顔面】症例5

【症例】20歳代 男性
【主訴】顔面打撲、複視
【現病歴】4日前の格闘技の試合で左眼を殴られ、腫脹と複視あり。近医受診し、当院紹介受診となる。
【身体所見】眼球運動障害なし、左方視で複視あり。

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左眼窩内側壁に骨折線を認めており、篩骨洞に軟部影を認めています。

また一部、眼窩内気腫を疑う所見があります。

眼窩底骨折の有無については、横断像では少しわかりにくいので冠状断像で見てみましょう。

すると、左眼窩内側壁だけでなく、下壁に骨折線を認めており、眼窩内容物は下方に逸脱していることがわかります。

また骨折線は眼窩下管にも及んでいます。

骨条件だと少しわかりにくいので、筋肉とのコントラストがつきやすい条件に変えて見てみましょう。

すると、逸脱した眼窩内容物は脂肪のみでなく、腫大した左下直筋も含まれていることがわかります。

また左内側直筋も右と比べるとやや腫大を認めています。

 

診断:左眼窩底+内側壁骨折(下直筋の逸脱あり手術適応)

 

※眼窩吹き抜け骨折の手術適応は、

  • 外眼筋の逸脱/絞扼による複視があるとき
  • 2mm以上の眼球陥凹があるとき

とされます。

今回は、下直筋の逸脱を認めており、複視の症状がありますので、手術適応となります。

実際手術が施行されました。

 

なお3Dの再構成を作っていただけたので見てみましょう。

3D再構成画像では、下壁・内側壁が欠損しており、骨折した骨片が転位している様子がよく分かりますね。

※ちなみに、症例1−3の鼻骨骨折では3D再構成画像が作られていませんでしたが、鼻骨骨折なども再構成画像があるとわかりやすいですね。

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【顔面】症例5の動画解説


お疲れ様でした。

今日は以上です。

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