【顔面】症例3

【症例】10歳代 男性
【主訴】硬球が鼻に当たった
【現病歴】2日前野球の合宿で遠征中に硬球が鼻に当たった。近医受診後、当院紹介受診となる。

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鼻骨に内側への陥没があります。

鼻骨には複数の骨折線を認めています。ただし一部鼻骨上顎縫合を見ており、縫合線で骨折していることが推測されます。

鼻骨骨折(鞍鼻型)が疑われます。

さらにこの症例では、鼻中隔にも骨折線を認めており、転位して鼻中隔が重なっている様子を観察できます。

それだけ鼻骨が陥没しているということですね。

鼻中隔は正常でも弯曲していることがあるので安易に骨折としないように注意しなければならないのですが、冠状断像においても鼻中隔のズレを認めており骨折がやはり疑われます。

また鼻腔や右の上顎洞には粘膜肥厚もしくは液貯留を認めており、血腫を伴っている可能性があります。

前回までの解説でも見たように、鼻中隔血腫は、放置しておくと鼻中隔に穴が開いたり(鼻中隔穿孔)、壊死を起こすことがあるので注意が必要で、早期に血腫を取り除く処置が必要とされます。

この症例の場合は2日前に受傷しており、他院受診しておりますので、受傷直後の状態ではありませんが、血腫だと判断されると取り除く必要があるということになります。

 

診断:鼻骨骨折(鞍鼻型)+鼻中隔骨折+鼻中隔周囲や右上顎洞に血腫を伴っている可能性あり

 

※形成外科にて整復術施行されました。メロウセルにて内固定後、断層撮影施行し、整復位であることを確認し、nasal splint固定して帰宅となっています。

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【顔面】症例3の動画解説

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