【顔面】症例12

【症例】70歳代 男性
【主訴】頭部打撲後の気分不良
【現病歴】昨日22時頃、飲酒後自己転倒あり。帰宅後、頭部の創部から出血を認めたため当院に救急搬送となる。
【身体所見】意識清明、脳神経に明らかな異常所見を認めず。

錐体骨の長軸に沿う方向に骨折線あり、側頭骨の縦骨折を疑う所見です。

鼓室内に含気不良を認めており、液貯留が疑われますが、耳小骨離断は認めません。

乳突蜂巣を横切るように錐体骨の長軸に沿う方向に骨折線を認めています。

乳突蜂巣は含気不良で液貯留が疑われます。

側頭骨骨折

側頭骨骨折には上のように錐体骨の長軸に沿う方向の縦骨折と直交する横骨折があり、

  • 縦骨折:中耳を横切り耳小骨離断
  • 横骨折:骨迷路を横切り骨迷路損傷

を来すことがありますのでこれらの解剖に異常を認めていないか観察することが重要となります。

今回は縦骨折ですが、耳小骨離断や外耳道損傷を疑う所見は認めていませんでした。

 

診断:右側頭骨骨折(縦骨折)

追記:骨折に加えて気脳症を認めています。気脳症の有無にかかわらずですが、頭蓋底骨折による髄液漏の有無の確認が臨床的に重要となります。コメント欄の動画で解説しています。

※保存的に加療されました。

関連:側頭骨骨折とは?症状、CT画像診断、治療法まとめ!

【顔面】症例12の動画解説

【補足動画】顔面神経走行を追って損傷がないことを確認する

動画内で出てくる正常例の画像はこちら

是非ご自身でも顔面神経の走行路を追ってみてください。


お疲れ様でした。

今日は以上です。

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