【腹部TIPS】症例1 解答編

症例1

【症例】60歳代 男性 スクリーニング

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結腸を中心に消化管内の便に石灰化を認めています。

便が硬くなっているのでしょうか?
それとも注腸検査(結腸のバリウム検査)後などでしょうか?

両側腎萎縮を認めています。
慢性腎不全が疑われます。

実はこの方、糖尿病性腎症により透析を行っています。

透析患者さんの場合、リン吸着薬(ホスレノール、一般名:炭酸ランタン水和物)を内服している場合が多く、カルシウムと結合することにより消化管内容物が高吸収になります。

つまり、内服薬の影響だということです。

 

また、両側の輸精管に石灰化を認めています。

輸精管の石灰化は糖尿病患者に多く、逆に輸精管の石灰化を認めた場合は、耐糖能異常の存在が示唆されます。

今回も糖尿病が存在しますので、その影響と考えられます。

関連:輸精管の石灰化のCT画像診断

その他所見:

  • 動脈硬化が目立つ。
  • 右上葉に石灰化肉芽腫あり。
  • 食道拡張あり。
  • 両側腎結石あり。右尿管結石あり。
  • 縦隔に石灰化リンパ節あり。
  • 膵頭部に嚢胞性病変あり。IPMNなどが疑われる。
  • 膵臓はびまん性に萎縮あり。
  • びまん性膀胱壁肥厚あり。慢性膀胱炎の可能性がある。
参考症例

参考症例として、IgA腎症にて10年間透析中の50歳代の女性の単純CTです。

リン吸着薬(ホスレノール、一般名:炭酸ランタン水和物)を内服中の方です。

同じように消化管内に石灰化が目立ちますね。

お疲れ様でした。

今日は以上です。

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