
症例76
【症例】50歳代 男性
スクリーニング
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腎結石の成分は何と考えられる?
まずは単純CTの画像から見てみましょう。
すると、右腎盂および右腎に結石を複数認めています。
また、左腎にも小さな結石を一箇所認めています。
いずれも高吸収であり、これだけでは、腎結石の成分まではわかりません。
そこで、登場するのがdual-energy CTです。
dual-energy CTでは、2-material decomposition解析を用いて、尿酸結石と非尿酸結石を分別することができます。
1)より引用。
わかりやすく言えば、
- 赤色→尿酸結石
- 青色→非尿酸結石(石灰化結石)
であるということです。
今回はどうでしょうか?
右の腎盂および腎結石はほとんど赤色ですので、尿酸結石。
左腎結石および右腎結石の一箇所は青色ですので、非尿酸結石(石灰化結石)。
と診断することができます。
診断:右腎盂および腎結石は1箇所除いて尿酸結石、左腎結石および右腎結石の1箇所は非尿酸結石(石灰化結石)
※尿酸結石の場合は、薬物による溶解療法の適応もあるため、治療前や排石前に結石の化学的性状を知ることが治療方針に繋がります2)。
参考:
関連:Dual-energy CTとは?仮想単色X線画像・物質弁別画像とは?
お疲れ様でした。
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。
iいつも勉強になっております。質問ですが、dual-energy CTはどこの施設でも普及しているものでしょうか?(クリニック勤務なので、CTのオーダーは画像専門のクリニックに依頼することが大半です)
アウトプットありがとうございます。
>質問ですが、dual-energy CTはどこの施設でも普及しているものでしょうか?
どこの施設でもというわけではありません。
うちの施設も2台のうち1台のみです。
>クリニック勤務なので、CTのオーダーは画像専門のクリニックに依頼することが大半です)
その施設が導入していたら撮影してもらうことは可能ですね。
尿管結石の種類や、肺塞栓の有無などの確認で撮影されることが多いと思います。
返信ありがとうございました!自排石が確認できない患者さんなどの再発予防につながると思いますので、導入しているようでしたら撮影をお願いしてみようと思います。
最新のCTであれば成分までわかるのですね
同様に胆管結石などもわかるのでしょうか
アウトプットありがとうございます。
いえ、胆石はこれではわからないようです。
尿管結石も、尿酸結石と非尿酸結石を分別できるのみです。
尿酸結石はX線に写らなくてCaを含む場合は写るとありますが、レントゲンCTで写っているのは尿酸結晶なのでしょうか?
アウトプットありがとうございます。
まず、上部尿路結石のほとんど、下部尿路結石の半数がカルシウム結石です。(CT値>1000)
CT値が低い尿路結石は
シスチン結石のCT値 700−900
尿酸結石のCT値 350ー600
で、これらはCTでは認識できますがレントゲンでは認識できないことが多い(特に尿酸結石)とされます。
参考:画像診断 Vol.41 No.4 増刊号 2021 P106