
症例65
【症例】50歳代 女性
他院のスクリーニングCTで膵腫瘍を指摘されたが、どうですか?
画像はこちら
まずは単純CTから見てみましょう。
確かに膵頭部より腹側に突出する部分を認めており、膵腫瘍でしょうか?
次にダイナミックCTを見てみましょう。
動脈相で突出している部分と周りの膵実質は同様の造影効果を示しているように見えます。
また突出部は胃十二指腸動脈(GDA)から前上膵十二指腸動脈(ASPDA)よりも左側で前方に突出していることがわかります。
突出部は以降の相においても、膵実質と同様の造影効果を示しています。
乏血性の膵管癌や、多血性の膵神経内分泌腫瘍などではなさそうです。
むしろ正常な膵組織が突出していることが推測されます。
このように膵頭部や膵鉤部、膵尾部では分葉亜型が知られています。
膵頭部では以下の様な亜型が知られています。
後方型が最多ですが、今回は前方型のtype1に相当します。
また、膵頭部に脂肪と同様の低吸収域を認め、脂肪組織の迷入が疑われます。
今回は副所見扱いですが、こちらを膵腫瘍疑いとされることもありますね。(むしろこちらを指摘された方も多いかもしれません(^_^;))
診断:膵頭部外側縁突出(正常変異)および脂肪迷入
その他所見:脂肪肝あり。
お疲れ様でした。
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。
いつもお世話になっています。造影CT(冠状断像)の24-26/79辺りで門脈から下腸間膜静脈が分枝し、下腸間膜静脈から卵巣静脈が分枝していないでしょうか?
なぜ卵巣静脈と考えたかというと、骨盤内に下行していき、67-69/79辺りで2つに分かれているからです。その為、卵巣静脈が1本になって、下大静脈ではなく門脈系に流入しているのではないかと考えました。
以上の内容は正しいのか診ていただきたいです。よろしくお願いいたします。
アウトプットありがとうございます。
冠状断像で見ると動脈も静脈も造影効果を認めておりややこしいですね。
横断像で見ますと右卵巣静脈は下大静脈に、左卵巣静脈は左腎静脈に流入していることを確認できます。
勉強になりましたありがとうございます。質問なのですが単純CT axial 79/92の子宮内の低吸収の塊は何なんでしょうか。
よろしくお願いします。
アウトプットありがとうございます。
子宮内のタンポンですね。
参考
https://www.jhpia.or.jp/product/tampon/tampon2_p4.html
子宮内ではなくて、膣内のタンポンで良いでしょうか?
すいません。腟内です。
御解答ありがとうございます。
タンポンだと経血が付着するので等吸収から高吸収になると思うのですが、低吸収にうつる要因としては何があるのでしょうか。
頻回に質問してしまい大変恐縮です。御解答よろしくお願いします。
アウトプットありがとうございます。
>タンポンだと経血が付着するので等吸収から高吸収になると思うのですが、低吸収にうつる要因としては何があるのでしょうか。
空気を含有しているためだと思われます。入れたばかりなのかもしれません。
いつもお世話になっております。膵臓腫瘍に関しては、場所すら良く分かりませんでした、精進します。
そこで、それ以外で質問なのですが、以前の問題やコメントで既出又は見当外れでしたら申し訳有りません。
子宮内?に腹部CT<axial>にて境界明瞭、類円形のLDAを認めています。coronalではやや円柱上に
あるので、腸管?かなと思ったのですが、内部に線状のやや高吸収域を認めております。
御教授頂けると助かります。
アウトプットありがとうございます。
子宮内のタンポンですね。
参考
https://www.jhpia.or.jp/product/tampon/tampon2_p4.html
いつも勉強させて頂いています。ありがとうございます。
単純のみのCTでこのような所見を認めた場合は造影CTを撮像するべきでしょうか。先生のご意見を聞かせて頂ければありがたいです。
アウトプットありがとうございます。
造影CTを撮影するかは難しいところですね。腫瘍マーカーやエコー所見と併せて必要に応じてという感じですかね。
容易に造影CTを撮影できる施設ならば一度造影CTを撮影するかもしれません。
いつも大変勉強させてもらっております。
膵臓の脂肪迷入ですが、膵脂肪腫としての鑑別はどのあたりで判断するものでしょうか?
アウトプットありがとうございます。
膵臓の脂肪迷入と脂肪腫は画像では鑑別できないと思われます。
いつも大変貴重な症例をありがとうございます。
膵尾部に
単純CT17.18/92
ダイナミック造影CT25.26.26.112.113.192.193/271
冠状断39/79
に数ミリ台の低吸収結節を認めます。
嚢胞より高濃度であり、いずれも多少パーシャルボリューム効果があり幾何学的構造に迷いますが、冠状断では腹腔内脂肪の膵尾部への迷入や切れ込みでは無さそうに思います。
微小膵脂肪腫と診断しても矛盾しないでしょうか?
訂正
>嚢胞より高濃度であり
低濃度ですね。
申し訳ありません(笑)
アウトプットありがとうございます。
脂肪腫なのか、脂肪変性なのか脂肪迷入なのかを区別する意義はあまりないような気がします。
肝腫瘍や副腎腫瘍に脂肪があるかどうかは非常に重要ですが。
また、膵脂肪腫は極めて稀とあります。
「膵脂肪腫は,非上皮性の極めてまれな良性腫瘍であり,論文・症例報告を含めても数十例のみである.」
http://www.jart.jp/activity/ib0rgt0000003rh7-att/2017_05paper2.pdf
フィードバックありがとうございます。
おっしゃるように個人的には画像検査含め今後のフォローすら不要な病態と考えます。
以前教えていただいたように、本症例の肝臓に偽病変が散見されるようです。いつも大変勉強になります、ありがとうございます。
https://xn--o1qq22cjlllou16giuj.jp/archives/13964
>本症例の肝臓に偽病変が散見されるようです。
補足ありがとうございます。
症例25で出てきましたね。