【新腹部救急】症例32

【症例】70歳代女性
【主訴】右側腹部痛
【現病歴】本日急激な右側腹部痛を自覚し、受診。
【既往歴】心房細動、右腎梗塞
【内服薬】ワーファリン2mg/日
【身体所見】意識清明、BP 150/102mmHg、P 99bpm、BT 37.3℃、右上腹部圧痛あり、反跳痛なし。
【データ】WBC 11200、CRP 0.18、PT-INR 1.12

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右腎に楔型の多発造影不良域を認めています。

造影不良を認める皮質辺縁は帯状に造影効果を認めており、cortical rim signを疑う所見です。

症状などと合わせて腎梗塞を疑う所見です。

なお腎動脈には明らかな血栓を疑う所見は認めていません。

冠状断像に置いても同様に、右腎に楔型の多発造影不良域を認めています。

また右腎にはくびれを複数認めており、既往歴にある陳旧性腎梗塞による変化が疑われます。

単純CTではこの右腎のくびれは認めますが、急性期の腎梗塞を疑う所見は認めていません。腎梗塞診断における造影CTの重要性がよく分かります。

 

診断:右腎梗塞

 

※腎梗塞の原因としては、経食道心エコーで左房内に血栓を認めており、心房細動(Af)による心原性塞栓が疑われました。ヘパリンおよびワーファリン投与により保存的に加療されました。

※来院時入院後PT-INR 1.12と低くワーファリン調整が必要と判断され、ワーファリン3mg/日→3.5mg/日と増量し、退院時にはPT-INR 2.2へ調整されました。(高度な抗凝固効果を目指す場合はINR2.0~3.0を目指すようです。)

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その他所見:

  • 胆嚢結石あり。
  • 子宮筋腫の疑い。
【新腹部救急】症例32の動画解説

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