【新腹部救急】症例30
【症例】20歳代女性
【主訴】左腰背部痛
【現病歴】1週間前に腰背部痛あり。今朝深夜から再び左腹部から腰部にかけて疼痛あり。嘔吐あり。
【既往歴】特発性大腿骨頭壊死
【身体所見】CVA叩打痛左あり
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腹部単純CTのみが撮影されています。
左腎の腫大、周囲脂肪織濃度上昇、腎盂から腎杯の拡張を認めています。
水腎症を疑う所見です。
また右腎結石を認めています。
このような腎周囲脂肪織濃度上昇は非特異的な所見であることが知られており、正常でも認めることがありますが、今回は明らかに左で目立ちますね。
このような左右差がある場合に考えなければならないのが、
- 尿管結石や尿管癌など閉塞機転があり急性水腎症を起こしている
- 腎盂腎炎
- 腎腫瘍
- 腎出血
などです。
今回はどうでしょうか?
腎杯〜腎盂〜尿管が拡張しています。
尿管を尾側に追っていくと・・・・
左の尿管膀胱移行部(〜尿管口)に結石を認めていることがわかります。
つまり、尿管結石が原因で急性水腎症を来しており、その結果、腎腫大や腎周囲脂肪織濃度上昇、腎筋膜の肥厚を認めているということです。
診断:左尿管結石(尿管膀胱移行部~尿管口)
※保存的に加療されました。
その他所見:右腎結石あり。
【新腹部救急】症例30の動画解説
お疲れ様でした。
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。
20歳代の女性で結石とは珍しいですね。腎結石もあって、繰り返すかも知れないと思うとゾッとします・・・
アウトプットありがとうございます。
>20歳代の女性で結石とは珍しいですね。
確かにそうですね。40ー50歳代の男性が早朝に来るイメージですね(^_^;)
静脈石と迷うことがあります。関連資料にある静脈石との鑑別を参考にさせて頂きます。
アウトプットありがとうございます。
尿管との連続性が微妙なことがたまーにありますが、基本は尿管を追うと同定できますね。
一目見ただけで左の腎臓がパンパンに腫れていて痛そうです.
尿管結石だけでもいいのかもしれませんが,周囲への炎症が強いため腎盂腎炎などの感染症がないかと心配になってしまいます.
アウトプットありがとうございます。
>一目見ただけで左の腎臓がパンパンに腫れていて痛そうです.
ですね。
>尿管結石だけでもいいのかもしれませんが,周囲への炎症が強いため腎盂腎炎などの感染症がないかと心配になってしまいます.
その辺りは単純CTだけではわからないので、臨床症状と尿検査、採血結果と併せて判断ということになりますね。
ですが、常に感染の可能性も考慮する必要がありますね。