【胸部】TIPS症例46
【症例】70歳代男性
【既往歴】冠動脈ステント挿入(3年前)、脂質異常症
【生活歴】喫煙:50本/日 ×32年(19年前より禁煙)
画像はこちら
経時的にどうなった?
右下葉S6に経時的に緩徐にすりガラス影が出現し、増大し、最終的に7.5年後には不整なspiculaを有する肺癌を疑う陰影へと変化しています。
最初の時は指摘も困難な程度なすりガラス影ですね。
しかし7.5年後には肺癌を強く疑う不整で内部に一部充実部位を含む(thin sliceがあればなおよかったのですが)結節へと変わっており、肺癌を強く疑う所見です。
診断:フォローしていた右下葉S6のすりガラス影が肺癌化した。
※手術が施行されました。病理結果は、adenocarcinoma with mixed subtypes(乳頭状〜置換性増殖を示し、浸潤性腺癌、乳頭状増殖優位型に相当)でした。
肺結節の判定と経過観察 第5版 ©日本CT検診学会では、すりガラス影の場合、以下の様にフォローしましょうと推奨されています。
ここで注目すべきは、すりガラス影が24ヶ月計観察を行って不変であっても、その後も年に1回の経過観察が必要である、と言う点です。
なぜフォローする必要があるかというと、今回のように緩徐に発育する肺腺癌があるからですね。
なんとなく、充実性病変の方が悪い(悪性である)印象があり、すりガラス影は良性の印象があるかもしれませんが、決してそんなことはなく、すりガラス影にも悪性が紛れているのでフォローが重要だと言うことですね。
関連:CTで肺結節を見つけた!どうフォローすればいい?何ヶ月後?
【胸部】TIPS症例46の動画解説
お疲れ様でした。
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。
Puer-GGNにおいて経過観察で著変なく、ある時期から増大する症例もあり注意が必要だと感じます。
アウトプットありがとうございます。
そうですね。単発だけ見ると、瘢痕でしょう!で済ませそうですが、すりガラス影は要注意だと痛感できる症例ですね。
解答に記載されている200X年+3年の画像と、問題の200X年+3年の画像が異なるようです。確認をお願いします。
確認します。ご指摘ありがとうございます。
not changeの結節の変化を追っていてGGNは途中から出てきた炎症性変化と思ってしまいました。画像が多いと見るのが雑になってしまい、thin slice時代の読影の先生がたはすごいなと思います。ちなみに北斗の拳のテイストですね。ありがとうございました。
アウトプットありがとうございます。
>thin slice時代の読影の先生がたはすごいなと思います。
読影量が半端ないですね。疑わしい部位だけチェックするようにしないと全例見てたら仕事にならないですね(^_^;)
>ちなみに北斗の拳のテイストですね。
そ、そうですね・・・・。
北斗の拳で画像検索してみましたが、その意図がよくわからな(略)。
最初の経時的変化のスライドが、アタタタタタタタ!って感じってことですよね?多分。
Pure GGNで24ヶ月変化がなければ「いいか」って思ってしまいそうですが、癌化することがあるということで消えるまではフォローが必要なんですね。
アウトプットありがとうございます。
消えるまでというか、消えればいいですが、消えない場合はずっとフォローですね。
なんとなく24ヶ月変わらないのであれば癌ではないだろうと思いがちですが、そうではない症例もあるということですね。勉強になりました。
何事も例外があることは意識しないといけないですね。
アウトプットありがとうございます。
>なんとなく24ヶ月変わらないのであれば癌ではないだろうと思いがちですが、そうではない症例もあるということですね。勉強になりました。
仰るとおりです。なので、被曝も問題もありますが、引き続きフォローしていくしかないということですね。
7.5年後の画像で、すりガラス様陰影の中の嚢胞性変化を空洞と思ってしまい、気腫性変化や喫煙歴もあることから扁平上皮癌と考えてしまいました。。。
扁平上皮癌でしたらすりガラスではなく、充実性の結節となるのでしょうか?
また空洞と嚢胞性変化の見分け方も教えて頂けますでしょうか?
よろしくお願い致します!
アウトプットありがとうございます。
>気腫性変化や喫煙歴もあることから扁平上皮癌と考えてしまいました。。。
すりガラス影から発生するのは腺癌が通常ですが、組織を今回問題としているのではなく、経時的に肺癌が発生するという過程を見ていただきたいので大丈夫です。
おっしゃるように、扁平上皮癌は通常充実性結節ですね。
>また空洞と嚢胞性変化の見分け方も教えて頂けますでしょうか?
ささぶね先生が症例34のコメント欄に記載いただいています。
Fleischner Societyによる用語の定義によると、
◎嚢胞:4mm未満の薄く整な壁に囲まれた含気性病変で、通常は円形
◎空洞:壁の厚さは4mm以上の含気性病変、もしくは腫瘤や炎症性病変の内部に認められる含気性病変。
要は壁が厚いかどうかがまず重要で、今回は壁は4mmはないので、嚢胞となりますね。
いつも大変勉強になる画像と動画をありがとうございます。
今回は3年後~6年後にかけてあまり変化がないように思ってしまいました(6~7.5の1年半で大きく変化した印象でした)が、そうではなく緩徐ではありますが変化していっているのですね。要注意かと思いました。撮影の合間にちょっと見るくらいでは気が付かなさそうです。。
それとは別件で本筋とは関係ないと思いますが、7.5年後の縦隔条件の画像の順番がちょっと入れ替わっているようです。
可能であれば修正の方よろしくお願いします。
アウトプットありがとうございます。
>6~7.5の1年半で大きく変化した印象でした
そうですね。ここで大きく変化した印象ですね。(CTの画質が異なるのもありますが。)
>撮影の合間にちょっと見るくらいでは気が付かなさそうです。。
そうですね。すりガラス影だから大丈夫というわけではなく2年経過後も1年ごとに追うべき理由がわかりますね。
>それとは別件で本筋とは関係ないと思いますが、7.5年後の縦隔条件の画像の順番がちょっと入れ替わっているようです。
確かに順番がおかしいですね。修正します。
今回のように長期間画像所見を追うことができた症例は少ないですので、とても勉強になります。この症例をみると、pure GGNもしっかり経過観察しないといけないと、改めて思いました。ありがとうございます。
アウトプットありがとうございます。
>今回のように長期間画像所見を追うことができた症例は少ないですので
そうですね。そういった意味でも貴重な症例といえますね。
>この症例をみると、pure GGNもしっかり経過観察しないといけないと、改めて思いました。
なんでこんなのを経過観察しているのだろうと思われることもあったかもしれませんが、これを見ると経過観察しないといけない理由がわかりますね。
経過観察の時は面倒がらずに前の写真を出して比べてみることが大切ですね。
今は電子化が進んで、以前の写真もすぐ出るし、大きな画面でクリアに見えるからいいですね。
アウトプットありがとうございます。
>今は電子化が進んで、以前の写真もすぐ出るし、大きな画面でクリアに見えるからいいですね。
そうですね。シャーカステンでCTを見ていた時代ならば引っかけることも難しかったかも知れません。
今回はthin sliceは残っていないのですが、本来はpure GGNはthin sliceでフォローされるべきですね。