【胸部】TIPS症例41
【症例】40歳代男性
スクリーニング
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どのような正常変異がある?
右肺尖部から中肺野内側に向って弧状に伸びる線状影を認めています。
非常に細くあたかも髪の毛を置いたかのようだということで毛髪線(hair line)とも呼ばれるものです。
ではなぜこのような陰影が見られるのでしょうか?
(胸部X線で左下肺野に結節影があるように見えますが、CTでははっきりしません。やや時期が異なるため、何らかの炎症所見があるのかもしれません。)
次にCTを見てみましょう。
CTにおいてもやはり右肺尖部から円弧状の線状影を認めています。
このような所見を見た場合、考えるべきは奇静脈間裂(奇静脈裂)となります。
この線は葉間裂であり、(臓側胸膜-壁側胸膜)-(壁側胸膜-臓側胸膜)の4枚の胸膜から構成されています。
この線状影を尾側に追うと、急に太くなり縦隔条件で確認すると、奇静脈弓が走行していることが分かります。
つまり、奇静脈弓が肺尖部から入り込んでしまい葉間裂を作ったということです。
診断:奇静脈葉(および奇静脈間裂(奇静脈裂))
※特に加療の必要はない正常変異の一つです。
一つ参考症例を見てみましょう。
この症例においても肺尖部から円弧状(C字状)の線状影を認めており、奇静脈間裂および奇静脈葉を疑う所見があります。
ただし、尾側に追うとこの奇静脈間裂は徐々に内側に移動していきます。
今回の症例のように奇静脈弓は奇静脈間裂に残っていないことが分かります。
奇静脈は縦隔に存在しており、奇静脈間裂から抜けていることがわかります。
【胸部】TIPS症例41の動画解説
お疲れ様でした。
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。
他にも副葉が存在するみたいなので、勉強しておきます。(後日、問題となるかもしれなので…)
アウトプットありがとうございます。
>後日、問題となるかもしれなので…
ギク。そ、そんなことはしませんよ(^_^;)
本日もありがとうございます。解説していただいていたことに対して重複してしまうのですが、『右肺は4葉あるわけではなく奇静脈の走行異常が原因で、臓側胸膜を引き込んでいる状態』でよいですよね?わかりやすいように胸水の移動範囲を書いてくださっていると思うのですが少し自信なく確認させてください。
アウトプットありがとうございます。
>奇静脈の走行異常が原因で、臓側胸膜を引き込んでいる状態
おっしゃるとおりです。本来は認めないものです。
今回の奇静脈葉も含め、副葉というものを知りませんでした。肺は順応性が高いんですね。
アウトプットありがとうございます。
奇静脈葉は割とありますので、注意して見てみてください。
しかしそれでも頻度は低いというので、実は普段から副葉を見て見ぬ振りをしているということですね。
副葉にはあまり注目せずに読影してきたので,結構見逃していそうですね.
アウトプットありがとうございます。
中でもこの奇静脈葉は5mmスライスでも気づけますので、何か瘢痕?としないで覚えておきましょう。
いつも勉強させていただいています。
動画(4:14~)でazygosがasygosになっていました。単なる誤植だと存じます。気づいたので一応お伝えします。
ありがとうございます。
パワポ自体が誤植なんですねorz
誤植報告ありがたいです。またおかしいところあれば教えてください。
奇静脈間裂(hair line)はレントゲン写真でチェックできそう。
ここを突破口としたいです。
病的意義はないのですね。
アウトプットありがとうございます。
程度にもよりますがレントゲンで指摘できますね。
病的意義はありませんが、日常臨床でも割と見られる正常変異です。
面白いです。これまで出会っているかもしれませんが、初めて知りました。
新しい知識の獲得は、楽しいですね! ありがとうございます。
アウトプットありがとうございます。
>これまで出会っているかもしれませんが、初めて知りました。
胸部CTを読影する機会があるならば、大小ありますが、おそらく実は見ておられると思います。
>新しい知識の獲得は、楽しいですね! ありがとうございます。
そう言っていただけるとこちらも嬉しいです。ありがとうございます。