先に結論:奇静脈葉は心配のない正常変異
- 奇静脈葉は、胎児期に奇静脈が右肺尖部の肺に食い込んだまま発達してできる余分な肺の区切りで、報告により0.3〜1.2%程度に見られる正常変異です。症状はなく治療も不要です
- 胸部レントゲンでは右肺尖部から下へ弧を描く細い線(奇静脈裂)と、その下端の涙のしずく形の影(奇静脈)が特徴で、CTでは右肺尖部のC字形の裂として見えます
- 病変と間違えないことが大切で、胸腔鏡手術などの際には位置を把握しておきます
奇静脈葉
- 肺の分葉異常の1つ。副葉(accessory lobe)の1つ。副葉には他には上副肺葉、下副肺葉などがある。HRCTで副葉間裂を調べた186例の検討では、下副葉間裂(21%)や左の小葉間裂(9%)が多く、奇静脈裂は1例(0.5%)のみでした(Ariyürek 2001)。
- 本来は右肺門を後から前へまたぐはずの奇静脈弓が、右肺尖部もまたいでしまい、肺尖部の肺実質に深く埋もれてしまい、肺尖部の胸膜を引き込んでできたもの。
- つまり4枚の胸膜で構成されている。この溝を奇静脈裂という。
- 肺尖は一部だけ二分され、内側を奇静脈葉と呼ぶ。
- normal variation(正常変異)の一つ。
画像所見
胸部単純X線
- 右肺尖部から伸びるhair lineとtear dropが特徴。
- 頻度は報告により0.4〜1.2%とされ、88研究(1,033,083人)のメタ解析では全体で0.30%でした(Yurasakpong 2021)。CTでの頻度は0.88%(Al-Mnayyis 2020)、0.8%(Yurasakpong 2022)と報告されています。
CT
- 横断像で、右肺尖部にC字の形態のfissureを認める。
症例

レントゲンで右肺尖部から伸びる線状影あり。
CTにて奇静脈葉と診断されました。
症例 60歳代男性

CTで奇静脈が明らかです。
奇静脈葉を疑う所見です。
このCT画像を動画でチェックする。
症例 60歳代女性

CTで奇静脈が明らかです。
奇静脈葉を疑う所見です。
参考文献
- Al-Mnayyis A, Al-Alami Z, Altamimi N, et al. Azygos Lobe: Prevalence of an Anatomical Variant and Its Recognition among Postgraduate Physicians. Diagnostics (Basel). 2020;10(7):470. PubMed
- Yurasakpong L, Asuvapongpatana S, Weerachatyanukul W, et al. Anatomical variants identified on chest computed tomography of 1000+ COVID-19 patients from an open-access dataset. Clin Anat. 2022;35(6):723-731. PubMed
- Godwin JD, Tarver RD. Accessory fissures of the lung. AJR Am J Roentgenol. 1985;144(1):39-47. PubMed
- Ariyürek OM, Gülsün M, Demirkazik FB. Accessory fissures of the lung: evaluation by high-resolution computed tomography. Eur Radiol. 2001;11(12):2449-53. PubMed
- Yurasakpong L, Yammine K, Limpanuparb T, et al. The prevalence of the azygos lobe: A meta-analysis of 1,033,083 subjects. Clin Anat. 2021;34(6):872-883. PubMed
画像診断を無料で学べるコンテンツ

無料講座
腹部画像診断を症例で学ぶ
4日に1回、朝6時に症例が届き、実際に画像をスクロールして読影する講座です。90症例以上・1年以上続く講座で、医師・医学生・放射線技師・看護師など10,000名以上が参加中です。
講座に参加する(無料) →
