頭部画像診断 TIPS症例31

【頭部】TIPS症例31

【症例】60歳代女性
【主訴】嘔気

スクリーニング

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CT

異常所見は?

両側大脳半球の外側に脳実質とほぼ等吸収を示す血腫を認めています。

今回はくも膜下腔の低吸収のラインが明瞭に見えるので、血腫であることがわかりますが、症例によってはこのくも膜下腔の低吸収が見えず、血腫と脳実質の境界がわかりにくい場合は見落とすことがあるので注意が必要です。

両側硬膜下血腫が存在し、大脳半球が圧迫されている様子がわかります。

冠状断像においても、両側対称性に硬膜下血腫が存在している様子がわかります。

一部高吸収があり、比較的新しい血腫が混在していることが疑われます。

 

 

お気づきの方もおられるかもしれませんが、実はこの症例、前回の症例30と同じ症例です。

1ヶ月半前には硬膜下水腫の疑いと診断され、その後のフォローのCTです。

両側硬膜下水腫は明瞭な高吸収な血腫に置き換わっていることがわかります。

MRIが撮影されました。

T1WI、T2WIでやや高信号な硬膜下血腫を認めています。

左側では隔壁構造を認めており、同部のみ信号パターンが異なり、時期の異なる血腫が存在することが推測されます。

 

診断:両側慢性硬膜下血腫

 

※硬膜下水腫は自然消退するものもありますが、今回の症例のように硬膜下血腫になることもありますので注意が必要です。

関連:慢性硬膜下血腫とは?CT、MRI画像診断のポイントは?

【頭部】TIPS症例31の動画解説

 

お疲れ様でした。

今日は以上です。

今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。

過去のコメント
  1. 両側の硬膜下血腫の場合、明らかな正中偏位が見られない場合があります。今回は、「嘔気」という症状があり、正中偏位がなくても厳重な経過観察が必要だと考えます。

    確認ですが…今回は「動画の解説」はなしということでいいですか?

    1. アウトプットありがとうございます。

      そうですね。厳重な経過観察が必要です、あるいは手術となりますね。

      動画添付するのが漏れていました。対応しました。

  2. 水腫では症状や圧排所見がなければ何でも無いものと思っていましたが、このように血腫に移行することを知りませんでしたし、初めて見ました。勉強になりました。

    1. アウトプットありがとうございます。

      水腫も血腫も基本フォローは必要ですね。

  3. 今日もありがとうございます。
    硬膜下水腫が血腫に移行する事を初めて知りました。勉強になりました。

    1. アウトプットありがとうございます。

      重要知識ですので覚えておきましょう。

  4. ようやくあたった(汗)
    当てにいってはダメですね。
    確実な所見を拾って、素直に診断する
    基本が大事ですね。

    1. アウトプットありがとうございます。

      おはようございます。

      >確実な所見を拾って、素直に診断する基本が大事ですね。

      ですね。マニアックな鑑別診断が必要な症例などは扱っていないので基本が大事ですね(^^)。
      水腫が血腫化することもアルアルですね。

  5. こんにちは、本日もよろしくお願いいたします。
    昨日の硬膜下水腫引き続き、脳溝がタイトかどうかに留意しながら読影できました。
    今回は脳室の圧排も著しかったので、すぐに気がつきました。

    1. アウトプットありがとうございます。

      今回は割とわかりやすいですが、両側ある場合は左右対称でわかりにくいこともあるので、年齢や脳室の圧排所見なども考慮してみるようにしてください。

  6. 低髄液圧症候群と深読みしてしまいました・・・単なる慢性硬膜下血腫で良かったのか

    1. アウトプットありがとうございます。

      硬膜の肥厚とするとかなり厚いですね。
      慢性硬膜下血腫はこのように左右対称に認めることがあるので注意しましょう。

  7. 硬膜下水腫の時点でなんとなくこれ以上悪化しないと勝手に思っていました。前症例ということも気が付きませんでした。
    要注意ですね。気をつけます。

    1. アウトプットありがとうございます。

      この症例を体験すれば、硬膜下水腫も定期的にフォローする必要があることがわかりますね。