頭部画像診断 TIPS症例20

【頭部】TIPS症例20

【症例】40歳代男性

眼トキソプラズマ症後、頭蓋内占拠性病変を除外目的で撮影。

画像はこちら

左頸静脈孔に腫瘍がある?ない?

左の頸静脈孔に造影効果を認めています。

明らかな左右差があり、腫瘍があるのでしょうか?

ちなみにT2WIでは無信号として認めています。

(造影前のT1WIの横断像があればより良かったのですが、矢状断像しか撮影されていませんでした)

その造影前の矢状断像と比較するとやはり造影前は高信号はなく、造影効果があることが分かります。

と言うことは腫瘍でしょうか?

 

実はこの頸静脈孔にはこのような左右差がしばしば見られることが知られています。

また今回のように片側のみ造影効果を認める場合はあたかも腫瘍かのように見えるため、pseudolesion(偽病変)と呼ばれます。

 

診断:左頸静脈孔の偽病変(jugular bulb pseudolesion)

 

関連:頸静脈孔まとめ!場所、通るもの、腫瘍の種類、頸静脈孔症候群とは?

【頭部】TIPS症例20の動画解説

 

お疲れ様でした。

今日は以上です。

今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。

過去のコメント
  1. 正常頸静脈孔の左右差はよく見かけます。T2でのフローボイドやMRAの元画など、他のシーケンスを見て総合的に判断しています。(実際は、特徴的な部位、信号なので迷うことはありませんが、一応確認をしています)

    1. アウトプットありがとうございます。

      >実際は、特徴的な部位、信号なので迷うことはありませんが

      おっしゃるようによくある正常変異ですね。造影効果が片側性の場合でも正常変異と総合的に判断できることが大事ですね。

  2. 今日もありがとうございます。
    頭蓋底の小孔や裂溝の左右差は今回のように正常であったり、軽度でも病的な事があったりと悩ましいです。脳幹部のthin slice MRIなども有用なのでしょうか?

    1. アウトプットありがとうございます。

      >頭蓋底の小孔や裂溝の左右差は今回のように正常であったり、軽度でも病的な事があったりと悩ましいです。

      今回の部位の左右差は非常に有名なので、覚えておきましょう。

      >脳幹部のthin slice MRIなども有用なのでしょうか?

      thin slice MRIでも同じように左右差が出るかもしれませんね。有用なのかどうかはちょっとわかりません。

  3. 静脈が抜けたり抜けなかったりするよね、くらいにしか見ていませんでしたが、逆に「病的かもしれない」という発想がなかったことを反省しました。頚静脈孔症候群として症状が合う場合は要注意ですね。腫瘍の有無を診断できる追加撮影が必要な場合もありそうだと感じました。

    1. アウトプットありがとうございます。

      造影効果に左右差のあるために、造影CTや血管造影までされることもあるようなので、偽病変があると言うことを知っておくことは大事ですね。

      造影CTや血管造影までされた場合は、ここまで確認したけど偽病変だったという貴重な資料にはなるのですが・・・。

  4. 今回の問題は、腫瘍性病変は見つかりません!と自信を持って言えるのですが、じゃあこの左右差何?と言われると・・・偽病変です!と言えるようにがんばります(笑)。ジジさんの言われる通り、腫瘍の有無を診断できる追加撮像をしっかり考えなければならないと思いました。

    1. アウトプットありがとうございます。

      知っているかどうかの部位ですので、いざというときに頸静脈孔には何か偽病変があったなと思い出して調べられるようにしましょう。

  5. 右の頸静脈の方がSVCに帰るので抵抗なく太く逆流も起きにくいので、左にpseudo lesionが起きやすいというのはすごく覚えやすいです。ありがとうございました。

    1. アウトプットありがとうございます。

      そうですね。(MRA講座でもでてきますが)MRAでも左に逆流を反映したものが見えることがあるので注意ですね。

  6. いままであまり意識して見れてなかったので明日からは頸静脈孔に意識して読影しようと思います!

    1. アウトプットありがとうございます。

      あえて意識する必要はないかもしれませんが、造影効果などに左右差があっても慌てないことが大事ですね。

  7. おはよございます、本日もよろしくお願い致します。
    一見して、神経鞘腫ではないか?と思ってしまいました。
    自信を持って腫瘍と偽病変を鑑別するためには、腫瘍についても学ばなければと思いました!

    1. アウトプットありがとうございます。

      >自信を持って腫瘍と偽病変を鑑別するためには、腫瘍についても学ばなければと思いました!

      そうですね。考察せずによくある偽病変と決めつけるのもよくないですね。

  8. 頸静脈孔とはどこぞや?から頑張りました笑

    CTだと、”乳突蜂巣のすぐ内側の骨に囲まれた穴”と考えるとよいのかなと思いました。

    MRIだと、骨が低信号になってしまうし、信号強度も様々とのことなので、中々やっかいだなぁと感じました。

    p.s. noteの記事見ました。

    すごくいいなと思いました。学校で勉強するよりも、実際に体験すると記憶に残りますよね〜。
    ちなみにですが、メルカリで切符を安く購入できないかと探していたら、キッザニアのお金が出品されてました笑

    1. アウトプットありがとうございます。

      >頸静脈孔とはどこぞや?から頑張りました

      CTなどで見たことがなければそこからですね。

      >MRIだと、骨が低信号になってしまうし、信号強度も様々とのことなので、中々やっかいだなぁと感じました。

      ですね。MRIでは同定しにくいこともしばしばあります。

      >p.s. noteの記事見ました。
      すごくいいなと思いました。学校で勉強するよりも、実際に体験すると記憶に残りますよね〜。

      そうなんです。まるでESPRESSO画像診断のようだと思いながら書きました(^▽^)

      >キッザニアのお金が出品されてました

      そうなんですね。10回働いてやっとペンが1本買える程度だと息子が言ってました。
      現実よりもさらに厳しい現実がキッザニアにはあります。

  9. 非常に勉強になりました。頭蓋骨には孔がいくつかあり大事な神経が走行しており臨床において大変重要ですが、画像でこのように教えて頂けると大変勉強になり頭に焼き付きました。孔や脳神経走行について書かれた書籍はありますが、ESPRESSOのようにわかりやすく動画やイラスト付きで解説してくれるところはみたことがありません。他の孔や脳神経走行についてのMRIでの解説動画やリンクなどはございますでしょうか。もしありましたらご教授いただけると幸いです(何度もお願いしてすみませんm(_ _)m)。どうぞよろしくお願い申し上げます。