急性副鼻腔炎(acute sinusitis)
- 感染と急性炎症症状(疼痛、発熱、膿性鼻汁など)が主体、1ヶ月以内に消退。
- 上顎洞で最多、自然孔付近の粘膜浮腫、炎症。
- 多くは偏在性(アレルギー性は両側対称性)。
急性副鼻腔炎の画像所見
- 滲出液や膿汁による液面形成(air fluid level)、air-bubble、片側性の洞粘膜肥厚。
- 慢性副鼻腔炎と異なり、副鼻腔は正常に発達し、骨壁肥厚は認めない。
- 造影CTで骨→粘膜下浮腫→造影される粘膜→液体貯留による層状構造。
- 副鼻腫内洗浄後は数日液面形成あり注意をする。
- 乳幼児の場合は正常でも含気がみられない場合があり、液面形成がない場合の評価は慎重に。
- 常に眼窩や頭蓋内への炎症波及や合併症に注意する。
症例 40歳代女性 鼻汁の多い前頭頭痛
引用:radiopedia
左上顎洞にair bubbleを有する液面形成を認めています。
急性副鼻腔炎と診断されました。
急性副鼻腔炎の合併症
- 眼窩内合併症では、硬膜下蓄膿(最多)、脳膿瘍、髄膜炎、硬膜外蓄膿など。
- 眼窩内合併症として、Chandler分類が知られている。
Chandler分類
- GroupⅠ:炎症性浮腫(眼窩中隔前蜂窩織炎)
- GroupⅡ:眼窩蜂窩織炎
- GroupⅢ:眼窩骨膜下膿瘍
- GroupⅣ:眼窩内膿瘍
- GroupⅤ:海綿静脈洞血栓
症例 20歳代男性 急性副鼻腔炎の発作後の左の痛みを伴う眼球突出と眼筋麻痺
左側の上顎洞、前頭洞、篩骨洞に粘膜肥厚および液貯留疑う高信号あり。
(急性)副鼻腔炎を疑う所見です。
さらに左眼窩内に淡い高信号の突出あり。
左眼窩内の突出はDWI高信号でADC低値であり、拡散制限があり、骨膜下膿瘍(Chandler分類 GroupⅢ)であると診断できます。
引用:radiopedia