ラトケ嚢胞(Rathke cyst)

  • 腺性下垂体の原基となるラトケ嚢内腔のRathke裂(cleft)が閉鎖せず、出生後も遺残した非腫瘍性の嚢胞。
  • 健常例の3.7%に2mm以上のRathke嚢胞が認められる。
  • 剖検の13-22%に認める。
  • 画像上、辺縁平滑で境界明瞭な嚢胞で、通常は5〜15mmの大きさであるが、しばしば鞍内から鞍上部へ進展する。
  • 無症状が多い、時に視力・視野障害・神経内分泌不全症状あり。
  • 下垂体前葉と後葉の間に存在する、時に鞍上部

ラトケ嚢胞のMRI画像所見

  • 内部の蛋白濃度に応じてさまざまな信号を呈し、経過観察中に嚢胞の信号変化を認めることもある。内部は不均一なこともある。
  • T2強調像では70%が高信号を示す。
  • 嚢胞壁は1層の上皮細胞であり、増強効果はない。辺縁部に増強効果がみられることがあるが、多くは圧排された下垂体に相当する。また慢性炎症の合併など。
  • 半数以上の症例で、内部に増強効果のない嚢胞内結節が認められ、T1強調像で高信号、T2強調像で低信号を示す(嚢胞内にT2強調像低信号の物質を認めるのがかなり特徴的。これを充実成分と間違えないように!!Waxy noduleと呼ばれる1))。嚢胞内容が濃縮・凝固したものと考えられ、Rathke嚢胞に特徴的な所見である。
  • 嚢胞壁の石灰化が10~15%に認められる。頭蓋咽頭腫のエナメル上皮腫は石灰化の頻度が高く、鑑別点となる。
  • 嚢胞壁は一層の上皮細胞で構成、原則として増強効果なし。(逆に嚢胞壁が増強されたら、周囲の正常下垂体組織、慢性炎症の合併を考える。この場合、頭蓋咽頭腫との鑑別は困難なことがある)
症例 40歳代女性

ラトケ嚢胞のMRI画像

T2強調像の横断像です。

トルコ鞍の後方に類楕円形の嚢胞性病変を認めています。

ラトケ嚢胞のMRI画像

T2強調画像の矢状断像です。

トルコ鞍内に嚢胞性病変を認めています。

ラトケ嚢胞のMRI画像

T1強調画像の矢状断像です。

下垂体の後葉はT1強調画像で高信号を示しますので嚢胞によりやや圧排されています。

ラトケ嚢胞を疑う所見です。

症例 15 歳の女子。3 日前から頭痛。

Rathke cyst2013年放射線科診断専門医試験問題14より引用。

トルコ鞍内で下垂体前葉と後葉の間にT1WIで高信号、T2WIで高信号の内部に低信号の分葉構造を有する。

ラトケ嚢胞を疑う所見。

症例 60歳代女性 頭痛

Rathke cleft cyst(放射線科診断専門医2009年7番より引用。)

トルコ鞍内にT1WIにて高信号、T2WIにて淡い低信号の腫瘤あり・左側にはやや低い信号が目立つ。

造影にて辺縁造影効果ありか。T1WIにて背側に後葉を疑う高信号あり。

ラトケ嚢胞を疑う所見。

1)AJNR Am J Neuroradiol,21:485-488,2000

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