神経鞘腫(schwannoma)
- 高頻度に遭遇する軟部腫瘍の1つ。
- 神経の軸索を取り囲むSchwann細胞由来。
- 神経束に沿う。
- 時に多発。神経線維腫症2型(neurofibromatosis type2)など。
- 30〜50歳代に好発する。
- 好発部位は脊柱管、頭頸部、四肢の屈側。
神経線維腫(neurofibroma)
- Schwann細胞や神経内膜細胞など複数の細胞由来。
- 全年齢に発生する。
- 神経線維腫症に伴うものが50%程度。
- 皮膚に好発する。
神経鞘腫、神経線維腫の画像所見
- 辺縁平滑な類円形腫瘤で被膜を有する。
- 神経との連続が同定できることがある。
- 内部性状の比較的特異性のある所見として、同心円状構造(target sign)がある。神経鞘腫の24-54%、神経線維腫の58-100%に認める。
- 経過が長くサイズが大きいものでは、出血などの内部変性を伴うことがある。中心部のcellular componentの変性で二重のリング状に見えることがあり、double ring signや、black Geode sign(黒い晶洞サイン)と呼ばれることがある。
- 脊髄神経根に発生する場合は、硬膜内が70%、硬膜内外が15%、硬膜外が15%の頻度で、硬膜内外へ進展する場合は、ダンベル型を呈するのが特徴。
内部性状
Antoni A | Antoni B | |
特徴 | 細胞豊富 | 粘液基質 |
部位 | 中心部 | 辺縁部 |
T2WI | やや高信号 | 著明に高信号 |
造影 | 著明に造影される | 遅れて造影される。 |
※Target sign, Peripheral myxoid hale signなどと呼ばれる。
※Target signはもともと神経線維腫に特徴的とされていたが神経鞘腫でもあり。
症例 50歳代女性
後脛骨神経沿いに球形腫瘤を認めています。
T1WIで筋肉と同定度の信号で、中心部を中心に造影効果を認めています。
引用:radiopedia
T2WIで辺縁部により高信号が目立つtarget signを認めており、神経鞘腫が示唆される所見です。
手術にて神経鞘腫(schwannoma)と診断されました。
症例 40歳代男性
引用:radiopedia
脛骨近位部の後方に、筋間との境界が明瞭な腫瘤を認めています。
T2WIでは均一な低信号で、中央に嚢胞性変化を認めてます。
手術にて脛骨神経神経鞘腫(schwannoma)と診断されました。
粘液基質を有する軟部腫瘍
良性腫瘍
- 神経鞘腫
- 筋肉内粘液腫など
悪性腫瘍
- 粘液/円形細胞型脂肪肉腫
- 粘液型軟骨肉腫
- 粘液線維肉腫など
参考記事)