
先に結論:APAMは閉経前の女性の子宮内腔にできるポリープ状腫瘤。T2強調像で小嚢胞を含み、T1強調像では筋層と等信号のことが多い。子宮内膜異型増殖症や子宮体癌を合併することがあり、画像は鑑別を絞る役割で、診断は組織で確かめる
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| どんな人に多いか | 203例の平均年齢39.30歳、閉経前が81.3%(Sun 2023) |
| MRIの典型像 | 子宮内腔のポリープ状腫瘤。T2強調像でやや高信号、内部に強い高信号の嚢胞。T1強調像は筋層と等信号(Nakai 2015) |
| 注意点 | 拡散強調像は高信号のことがあり、筋層に入り込むように見える例は体癌との区別が難しい(Nakai 2015) |
| 合併 | 異型増殖症18.2%、子宮体癌10.8%と一緒に見つかった(Sun 2023) |
| 経過 | 温存治療後の再発や癌の発生が報告され、経過観察で内膜の組織を確かめる(Raffone 2019、Biasioli 2020) |
異型ポリープ状腺筋腫(APAM)とは
異型ポリープ状腺筋腫(atypical polypoid adenomyoma:APAM、APAとも略されます)は、子宮内膜の腺と、平滑筋を含む線維筋性の間質が混ざってできるポリープ状の病変です。腺の形が不規則で、細胞に異型を伴うことから「異型」と名づけられています。子宮内腔に突出する形をとるため、画像では内膜ポリープ、粘膜下筋腫、ポリープ状に発育する悪性腫瘍(子宮体癌・癌肉腫・腺肉腫)が鑑別に挙がります。
中国の203例の検討では、診断時の平均年齢は39.30歳で、閉経前の女性が81.3%を占め、症状は不正出血や過多月経が最も多くみられました。病変の場所は子宮底部が78.3%と最も多く、子宮下部が11.8%で続きました(Sun 2023)。11の研究・237人をまとめた系統的レビューでも、85.5%が閉経前、62.9%が出産歴のない女性でした(Raffone 2019)。妊娠を望む年代に多いことが、治療の選び方や画像に求められる役割に関わってきます。
APAMと「ポリープ状腺筋腫」の違い
名前が似た病変に、異型を伴わないポリープ状腺筋腫(polypoid adenomyoma:PA)があります。PAは良性の腫瘍で、粘膜下に突出するものが多く、まれに漿膜下にも出ます(Takeuchi 2015)。APAMは腺の異型があり、子宮内膜異型増殖症や子宮体癌との関係が問題になる点で、PAとは扱いが異なります。画像の報告もPAとAPAMを分けて読む必要があります。
| 報告 | 対象 | 主な数字 |
|---|---|---|
| Sun 2023 | APAM 203例 | 平均39.30歳、閉経前81.3%、子宮底部78.3%、異型増殖症の合併18.2%、体癌の合併10.8% |
| Raffone 2019 | 11研究・237人 | 閉経前85.5%、未産62.9%、再発28.9%、癌への進行16.6% |
| Biasioli 2020 | 46研究・妊娠可能年齢の296例 | 再発44%、同時または経過中の子宮体癌16%、妊娠を望んだ人の79%で妊娠 |
MRIの見え方
病理で確かめたAPAM 3例(37〜47歳)のMRIの検討では、全例が子宮内膜から出るポリープ状の腫瘤で、子宮体部上部と子宮下部から出るものが半数ずつでした。T2強調像では腫瘤はほぼ均一でやや高信号を示し、内部に強い高信号の嚢胞状の部分を含んでいました。T1強調像では全例が子宮筋層と等信号で、1例では嚢胞の一部がT1高信号(出血を示す所見)でした。ダイナミック造影では、嚢胞以外の充実部が動脈相から造影され、後期相ではwashoutまたはプラトーのパターンを示し、拡散強調像では全例が高信号でした(Nakai 2015)。
同じ報告では、3例中1例は辺縁が不整で筋層に入り込むように見え、2例は内膜細胞診が陽性、掻爬標本の病理で類内膜癌とされていました(Nakai 2015)。腫瘍の中の腺の異型が強いと、生検の段階でも癌と迷うことがあります。著者らは、MRIで筋層浸潤があるように見える場合はとくに悪性腫瘍との区別が難しく、年齢・内膜の病理・MRI所見を合わせて判断するよう述べています(Nakai 2015)。
頸管から腟へ脱出する例
茎のある腫瘤が頸管から腟へ脱出することもあり、21歳女性で腟内を占める出血性の腫瘤として見つかった例では、MRIで子宮頸部の高さから出る境界明瞭な不均一な充実性腫瘤で、小さな嚢胞を含み、強く造影されました(Butureanu 2023)。同じ報告は、頸管を通る茎がMRIで見えることが、脱出した子宮腫瘍を示す手がかりになると述べています(Butureanu 2023)。
似た病変との区別
子宮内腔のポリープ状腫瘤を見たときは、年齢、腫瘤の付着部(茎の有無)、T2強調像での信号(嚢胞・低信号域・線維性の芯)、拡散強調像とADC、筋層との境界をそろえて見ていきます。APAMと他の病変を区別するための大きな集団の比較研究はまだ少なく、下の表は各病変の一般的な特徴と、報告の数字を合わせたものです。
| 病変 | MRIの特徴 | APAMとの区別のポイント |
|---|---|---|
| 子宮内膜ポリープ | T2強調像で中心の線維性の芯(低信号)、内部の小嚢胞 | 典型的なPAとの比較では、嚢胞(88%対25%)・出血(50%対9%)・筋層浸潤(25%対0%)はPAで多く、ADC値や線維性の芯の有無には差がなかった(Kawaguchi 2019) |
| 粘膜下筋腫 | T2強調像で均一な低信号、境界明瞭、渦巻き状の内部構造 | APAMはT2強調像で筋腫ほど低信号にならず、強い高信号の嚢胞を含むことが多い(Nakai 2015) |
| 子宮体癌 | 内膜から出る腫瘤、拡散制限、筋層への浸潤 | APAMも拡散強調像で高信号を示しうる(Nakai 2015)。合併も多く(Sun 2023)、組織での確認が要る |
| 癌肉腫・腺肉腫 | 高齢者に多い大きく不均一な腫瘤、出血・壊死、子宮頸管への脱出 | APAMは閉経前に多い(Sun 2023)。年齢と腫瘤の大きさ・内部の壊死を合わせて考える |
内膜ポリープとの区別
内膜ポリープは最もよく見る内腔のポリープ状病変で、T2強調像で中心の線維性の芯や小さな嚢胞が見られます。詳しくは子宮内膜ポリープ・子宮内膜増殖症のMRIにまとめています。異型を伴わないPA 8例と内膜ポリープ32例を比べた検討では、嚢胞成分が優位なもの(37%対6%)、嚢胞がある(88%対25%)、出血がある(50%対9%)、筋層浸潤がある(25%対0%)のいずれもPAで多くみられました(Kawaguchi 2019)。この検討はAPAMを除外しているため、数字をそのままAPAMに当てはめることはできませんが、「腫瘤の中の嚢胞や出血が目立つときは腺筋腫系の病変も考える」という見方の手がかりになります。PA 7例の検討では、全例が嚢胞を含み、57%にT1強調像で高信号の出血域があり、造影では筋層と同じ程度に強く造影されました(Takeuchi 2015)。
粘膜下筋腫との区別
粘膜下筋腫は、平滑筋の塊なのでT2強調像で筋層より低い均一な信号を示すのが典型です。変性すると信号は変わりますが、APAMのように小さな嚢胞が散在する像とは見え方が違うことが多いです。筋腫の種類や変性の見え方は子宮筋腫のMRI画像診断のポイントで解説しています。また、APAMの間質は平滑筋を含むため、充実部が筋層と同じ程度に造影されることがあります(Bae 2024)。造影の強さだけで筋腫と決めないことが大切です。
子宮体癌・癌肉腫との区別
APAMで最も注意したいのは、子宮体癌との関係です。203例では異型増殖症が18.2%、子宮体癌が10.8%で同時に見つかっており(Sun 2023)、妊娠可能年齢の296例をまとめた報告でも、同時または経過中に子宮体癌と診断された割合は16%でした(Biasioli 2020)。APAMそのものも拡散強調像で高信号を示しうるため(Nakai 2015)、画像で「APAMらしい」と思っても、周囲の内膜の病変は組織で確かめる必要があります。
癌肉腫は、高齢の女性に多い大きく不均一な腫瘤で、出血や壊死を伴い、頸管から脱出することがあります。腺肉腫も内腔のポリープ状腫瘤として見えます。これらの画像所見は子宮癌肉腫・腺肉腫のMRI所見にまとめています。APAMは閉経前の女性に多いため、年齢は区別の大きな手がかりですが、203例でも閉経前でない人が2割近く含まれており(Sun 2023)、年齢だけで決めることはできません。
症例 20歳代女性 腟へ脱出した異型ポリープ状腺筋腫

引用:Butureanu T, Haliciu AM, Apetrei AM, et al. Prolapsed Atypical Polypoid Adenomyoma—A Case Report and Literature Review. Life (Basel) 2023;13(12):2352(Figure 2)(CC BY 4.0)
冠状断と矢状断で、子宮頸部の高さから出て腟内へ伸びる腫瘤があり、内部に小さな嚢胞状の部分を含んでいます(B・C)。この例では腫瘤は茎で頸部とつながっており、茎を縛って切除され、4年間の経過観察で再発はありませんでした(Butureanu 2023)。
治療と経過観察で画像に求められること
APAMの治療は、妊娠を望むかどうかで大きく変わります。系統的レビューでは、子宮鏡下の経頸管的切除(TCR)が、ほかの温存治療より初回の効果が高く、癌への進行が少ないと報告され、全体の再発は28.9%、癌への進行は16.6%でした(Raffone 2019)。別のメタ解析では再発は44%で、子宮鏡下の手術(22%)のほうが盲目的な掻爬・ポリープ切除(38%)より再発が少なく、5年間で新たに癌と診断された累積の割合も子宮鏡下手術で低い結果でした(10.56%対35.5%)(Biasioli 2020)。203例の検討でも、TCR後に追加治療を受けた群は、受けなかった群より再発(9.1%対36.4%)と悪性化(3.0%対18.2%)が少なかったと報告されています(Sun 2023)。
画像の役割は、腫瘤の付着部と大きさ、筋層に入り込んでいるように見えるかどうか、腫瘤以外の内膜に厚みや腫瘤がないかを伝えることです。妊娠を望まない場合は子宮摘出も選択肢になり、治療の選び方は主治医が患者さんと相談して決めます。気になる不正出血が続く場合は、婦人科で相談することをすすめます。
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よくある疑問(Q&A)
Q1. APAMは悪性の腫瘍ですか?
APAM自体は良性の病変として扱われてきましたが、子宮内膜異型増殖症や子宮体癌と一緒に見つかることがあり(Sun 2023)、温存治療後に癌へ進行した例も報告されています(Raffone 2019)。そのため、良性と決めて放置するのではなく、経過観察で内膜の組織を確かめていくことが勧められています。
Q2. MRIだけでAPAMと診断できますか?
できません。T2強調像で嚢胞を含むポリープ状腫瘤という見え方は手がかりになりますが、拡散強調像で高信号を示す例があり、筋層に入り込むように見える例は体癌との区別が難しいとされています(Nakai 2015)。診断は子宮鏡下の切除や生検で得た組織で行います。
Q3. 内膜ポリープとの一番の違いは何ですか?
組織では、APAMは平滑筋を含む間質と異型のある腺からなる点が違います。画像では、異型のないPAと内膜ポリープの比較で、嚢胞・出血・筋層浸潤がPAに多かったと報告されています(Kawaguchi 2019)。ただしADC値や線維性の芯の有無には差がなく、1つの所見だけで決めることはできません。
Q4. 子宮を残す治療をしたあとはどう経過を見ますか?
系統的レビューは、再発・進行や異型増殖症・癌の合併があるため、温存治療のあとも経過観察での生検が望ましいとしています(Raffone 2019)。MRIは、残った腫瘤や新たな腫瘤がないか、筋層との境界がどうかを見るために使われます。具体的な間隔は主治医の判断によります。
参考文献
- Nakai G, Kitano R, Yamamoto K, et al. Magnetic resonance imaging findings in atypical polypoid adenomyoma. J Comput Assist Tomogr. 2015;39(1):32-6. PubMed
- Sun Y, Tian L, Liu G. A Clinicopathological Review of 203 Cases of Atypical Polypoid Adenomyoma of the Uterus. J Clin Med. 2023;12(4):1511. PubMed
- Raffone A, Travaglino A, Saccone G, et al. Management of women with atypical polypoid adenomyoma of the uterus: A quantitative systematic review. Acta Obstet Gynecol Scand. 2019;98(7):842-855. PubMed
- Biasioli A, Londero AP, Orsaria M, et al. Atypical polypoid adenomyoma follow-up and management: Systematic review of case reports and series and meta-analysis. Medicine (Baltimore). 2020;99(26):e20491. PubMed
- Kawaguchi M, Kato H, Suzui N, et al. MR imaging findings differentiating uterine submucosal polypoid adenomyomas from endometrial polyps. Br J Radiol. 2019;92(1095):20180430. PubMed
- Takeuchi M, Matsuzaki K, Harada M. MR manifestations of uterine polypoid adenomyoma. Abdom Imaging. 2015;40(3):480-7. PubMed
- Butureanu T, Haliciu AM, Apetrei AM, et al. Prolapsed Atypical Polypoid Adenomyoma-A Case Report and Literature Review. Life (Basel). 2023;13(12):2352. PubMed
- Bae H, Shin YR, Rha SE. [Classification of Uterine Adenomyosis: A Pictorial Essay]. J Korean Soc Radiol. 2024;85(3):549-565. PubMed
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