子宮頸癌 治療後MRI 効果判定・再発・晩期の副作用の見え方

子宮頸癌の放射線治療が終わったあとのMRIでは、何を見ているのですか?
大きく3つです。①腫瘍が小さくなったか、残っていないか(効果判定)、②あとから腫瘍が再び出てきていないか(再発)、③放射線による直腸・膀胱・骨への影響(晩期の副作用)です。治療直後は、放射線による変化と腫瘍が紛らわしいので、撮る時期と、拡散強調像(DWI)を含めた読み方が大切になります。

先に結論:治療後のMRIは「効果判定・再発・晩期の副作用」を見る検査。放射線による変化と腫瘍は紛らわしいので、時期とT2・DWIを合わせて読む

項目 ポイント
治療の骨組み 骨盤への外部照射にシスプラチンなどの化学療法を併用し(同時化学放射線療法)、続いて子宮の中から照射する画像誘導小線源治療を行う。MRIは小線源の計画にも使われる
効果判定の時期 治療後3か月と6か月でMRIの奏効を比べた報告では、6か月のほうが奏効例が多かった(単施設・後ろ向き研究)。3か月で残っていても、すぐに再発とは決められない
残存・再発と線維化 T2で中等度の信号の腫瘤と拡散制限は残存・再発を疑う所見。治療後の変化は通常のMRIだけでは区別しにくく、DWIなどの機能画像が助けになる
晩期の副作用 瘻孔、放射線直腸炎・膀胱炎、仙骨を中心とした脆弱性骨折。再発と間違えない
治療の選択 治療の選び方や、治療後のフォローの方法は、主治医が病状に合わせて決める

子宮頸癌の放射線治療:同時化学放射線療法と小線源

局所進行子宮頸癌(腫瘍が子宮頸部を越えて広がり、放射線と化学療法で根治を目指す段階の頸癌)の治療の骨組みは、外部照射と化学療法を同時に行う同時化学放射線療法と、そのあとに行う小線源治療です。外部照射は骨盤全体(子宮・腟・傍組織・骨盤のリンパ節)に、何回かに分けて照射します。化学療法にはシスプラチンが使われることが多く、放射線の効果を高める目的で併用されます。

小線源治療(腔内照射)は、子宮の中と腟の中に細い管を入れ、そこから小さな放射線源で腫瘍の近くを直接照射する方法です。腫瘍に強い線量を集め、周りの直腸や膀胱には当てすぎないようにできるのが特徴です。

この小線源の計画を、CTやMRIで見ながら立てる方法が画像誘導小線源治療(IGABT)です。MRIは腫瘍・子宮頸部・傍組織を軟部組織のコントラストよく描き出せるので、照射したい範囲(腫瘍だったところ)を決めるのに向いています。24施設・1,341人の前向き研究(EMBRACE-I)では、98.2%でMRIを使った小線源治療が行われ、5年の局所制御率は92%でした(Pötter 2021)。なお、線量や回数は施設の方針や病状で変わるため、この記事では数値には触れません。治療を選ぶ判断は、主治医と相談して決めてください。

段階 内容 画像の役割
治療前 MRIで腫瘍の大きさ・傍組織への広がり・リンパ節を評価して病期を決める FIGO2018の病期の根拠(子宮頸癌のFIGO2018進行期分類とMRI)
外部照射+化学療法 骨盤に何回かに分けて照射し、同時にシスプラチンなどを投与する 治療の途中で腫瘍の縮小を確認する場合がある
小線源治療 子宮・腟の中から腫瘍の近くを直接照射する MRIで残存腫瘍の範囲を見て、照射の範囲を決める
治療後の経過観察 診察・画像で効果判定と再発の確認、副作用の確認を続ける MRI、PET-CT、CTなどを組み合わせる

治療中のMRI:小線源の前に腫瘍の縮み方を見る

外部照射と化学療法で腫瘍がどれだけ縮んだかは、予後と関係します。247人の頸癌を調べた報告では、小線源の時点でMRI上の腫瘍が消えた(complete response)のは28%でした。腫瘍の体積が診断時より90%以上減っていることや、小線源時点の体積が小さいことは、生存・局所制御の良さと関連していました(Schernberg 2018)。小線源前のMRIは、腫瘍が十分縮んだかどうかを知る材料にもなり、縮みが悪い人では照射の組み立てを考えるきっかけになります。

この時期のMRIは、T2強調像で腫瘍だった部分の信号と大きさを確認します。腫瘍が残っていれば、頸部の本来の低信号の間質の中に、中等度の信号の腫瘤として見えます。治療を始める前のMRIと同じ断面で比べると変化が分かりやすくなります。

治療後MRIの撮影時期と効果判定

いつ撮るのが適切か

治療が終わってすぐに撮ると、腫瘍が縮み切っていないため、実際より効果が不十分に見えることがあります。局所進行頸癌79人(FIGO2018のIB3〜IVA期)で、外照射の終了時(小線源の前)、小線源の終了3か月後、6か月後にMRIの奏効を比べた報告があります。奏効と判定された人は、順に21人、53人、59人と増えました。3か月で部分奏効だった7人が6か月後に奏効に変わり、臨床的な奏効は80%でした。著者らは6か月後が、MRIで奏効を判定するのにもっとも適した時期だとしています(Autorino 2026)。

ただし、これは1施設の後ろ向き研究で、施設や治療の方針によって撮る時期は異なります。治療後3か月ごろにMRIやPET-CTを撮り、その後も定期的に経過を見る方法も報告されています(Kim 2025)。3か月の時点で腫瘍が少し残って見えても、すぐに「治療が効かなかった」と結論せず、時間を置いた再評価が検討されることがあります。実際の撮影時期や検査の種類は、主治医が決めます。

拡散強調像(DWI)の役割

DWIは、細胞が密な腫瘍で水分子の動きが制限される(拡散制限)ことを見る撮影で、ADC値という数値で表します。治療で腫瘍が壊れると、細胞の密度が下がって拡散制限が弱まり、ADC値が上がります。頸癌の化学放射線療法後のDWIを調べた系統的レビュー(9研究・231人)では、奏効例の平均ADCは治療前後で0.88から1.50(×10-3 mm2/s)と、部分奏効例(1.03から1.42)や非奏効例(0.87から1.18)より大きく上がりました。一方、治療の早い時期にDWIで効果を予測する根拠は乏しく、研究の偏りの危険も高いと報告されています(Schreuder 2015)。つまり、DWIは治療が終わってからの評価に有用で、治療の早期の予測には使いにくいという結論です。

時期 主に見るもの 注意点
小線源の前(外照射の終了時) 腫瘍の縮み具合(T2・DWI)、残存腫瘍の範囲 治療の途中なので、縮み切っていなくても異常ではない
治療終了後およそ3か月 残存の有無、治療前との比較、リンパ節 奏効が不十分に見えても、6か月で改善する人がいる(Autorino 2026)
6か月前後 奏効の判定(腫瘍が消えているか) DWIでは拡散制限の有無とADCを併せて読む
その後の経過観察 再発、リンパ節、遠隔転移、副作用 遠隔転移の確認には、胸部CTやPET-CTなど骨盤MRI以外の検査も使う(Kim 2025)

治療後の線維化と残存・再発の見分け方

何が問題になるのか

放射線の治療を受けた骨盤は、炎症・浮腫・線維化など様々な変化が起こります。化学放射線療法後の頸癌で、放射線による変化と、腫瘍の残り・早い時期の再発を従来のMRIだけで区別するのは難しいことがあり、頸部や腟断端ではとくに問題になる、とレビューにまとめられています。そのため、DWIや造影の動態(DCE)など機能画像が補助として注目されています(Hameeduddin 2015)。

一般的な考え方としては、次のように整理します。

所見 T2強調像 DWI 経時変化
治療後の線維化 低信号で、治療前の腫瘍があった部位が縮んだ形になりやすい 拡散制限を示さない 安定か、徐々に小さくなる
治療後早期の炎症・浮腫 高信号が目立ち、腫瘍と紛らわしい 治療前の腫瘍のような強い拡散制限は目立たないことが多い 時間とともに改善することが多い
残存・再発 中等度の信号の腫瘤 拡散制限(DWIで高信号、ADCで低信号) 残る、または大きくなる

この表は画像診断の一般的な見方をまとめたもので、単独で決める基準ではありません。実際には、治療前のMRIとの比較、時間をおいた再撮影、診察、PET-CT、生検の結果を合わせて判断します。照射した範囲に生検を行うと、組織の治りが悪いため、瘻孔の危険が増えることも報告されています(Feddock 2014)。

症例 治療後の残存・再発病変と、奏効した例の画像

子宮頸癌の治療後のMRI 残存・再発病変(上段)と奏効した例(下段) T2強調像・DWI・ADCマップ
引用:Hameeduddin A, Sahdev A. Cancer Imaging 2015;15:3(Figure 1)(CC BY 4.0)

引用した図は、頸癌の治療後のMRIです。上段(a〜c)では、矢状断のT2強調像(a)で頸部に中等度の信号の腫瘤があり、水平断のDWI(b、高いb値)で高信号、対応するADCマップ(c)で低信号、すなわち拡散制限を示しており、残存または再発の病変と説明されています。下段(d〜f)は治療後の画像で、T2強調像・DWIとも残存病変はなく、治療が効いた(奏効)状態の例です(Hameeduddin 2015)。

治療後の再発はどこに出るか

化学放射線療法で奏効した428人を中央値約5年追跡した報告では、20.1%(86人)が再発し、その多くは遠隔転移(86%)でした。再発の67.4%は症状がなく、画像検査で見つかっていました。症状のある再発のほうが生存は不良で、無症状のうちに見つけられるように、腹部骨盤のCTやMRIでの経過観察が勧められています。広い範囲に照射した人では、胸部CTも加えた検討が勧められています(Kim 2025)。骨盤のMRIは骨盤内の再発に向いていますが、遠隔転移の確認には別の検査が必要です。

晩期の副作用:瘻孔・放射線直腸炎・仙骨の脆弱性骨折

画像誘導小線源治療でも、晩期の副作用は起こり得ます。EMBRACE-Iでは、5年の累積で、グレード3〜5(重い)の副作用が、消化管で8.5%、泌尿生殖器で6.8%、腟で5.7%、瘻孔で3.2%でした(Pötter 2021)。

副作用 画像で見えるもの 間違えやすいもの
瘻孔(直腸腟瘻・膀胱腟瘻など) 臓器の間をつなぐ管状の構造、ガスや液体の漏れ、周囲の炎症 再発による瘻孔、放射線の影響による瘻孔(生検などで区別する)
放射線直腸炎・膀胱炎 壁の肥厚と周囲の脂肪組織の濁り(造影の増強を伴うことがある) 再発・腫瘍の浸潤、感染
仙骨の脆弱性骨折 仙骨・仙腸関節のT2高信号と線状の低信号 骨転移、腫瘍の骨浸潤

瘻孔

子宮頸癌の325人の検討では、27人(8.2%)に瘻孔がみられ、その原因は放射線の毒性が51.9%、もとの腫瘍によるものが22.2%、再発によるものが25.9%でした(Feddock 2014)。つまり、治療後の瘻孔が、すべて放射線の副作用というわけではありません。直腸や膀胱への放射線量が多いこと、進行した病期、照射後の生検が、瘻孔の発生と関連していました。MRIやCTでは、直腸・腟・膀胱の間をつなぐ管状の構造や、ガス・液体の漏れを探します。再発による瘻孔では、周囲に腫瘍組織を伴うことがあります。

放射線直腸炎・膀胱炎

骨盤への放射線の影響で、直腸の壁が厚くなり、周囲の脂肪組織が濁って見えることがあります。同様の変化は膀胱にも起こり、血尿や頻尿につながります。これらは再発や腫瘍の浸潤とも似るため、症状の経過、内視鏡、治療前後の画像との比較を合わせて判断します。症状は治療の終了後、数か月から年単位で出てくることがあります。

仙骨の脆弱性骨折

骨盤に放射線を当てると、骨が弱くなり、少しの負荷で骨折する脆弱性骨折が起こることがあります。婦人科がんの外部照射後の骨盤脆弱性骨折を集めたメタ解析(21研究・3,929人)では、14%に骨折が発生し、そのうち症状があったのは61%でした。骨折の部位は仙腸関節が39.7%、仙骨本体が33.9%と、仙骨周辺が7割以上を占め、骨折までの期間の中央値は、研究によって7.1〜19か月でした。強度変調放射線治療(IMRT)では骨折が少ない傾向がありました(Sapienza 2020)。約4割は症状がないまま見つかっていることから、画像で見つかる機会も多い副作用です。

MRIでは、仙骨の骨髄浮腫(T2強調像やSTIRで高信号)と、仙骨の翼に沿った線状の低信号の骨折線を探します。H字状の骨折の形(Honda sign)など、脆弱性骨折の画像は骨盤脆弱性骨折(FFP)のRommens分類とHONDAサインで解説しています。痛む場所と違う部位に骨折があることもあり、痛む場所と違うところの骨折も参考になります。骨転移と間違えると、不要な治療や不安につながるため、がんの既往があっても、照射した範囲と骨折の形をよく見ることが大切です。

治療後に気になる症状と受診の目安

この記事は治療後の経過観察の画像を説明するもので、症状から病気を決めるものではありません。次のような症状が出たときは、次の定期受診を待たず、治療を受けた病院に連絡して相談してください。

  • 腟からの出血・おりものの増加、においの強いおりもの
  • 血尿、尿や便が腟から漏れる感じ、便に血が混じる
  • 下腹部・腰・お尻や仙骨のあたりの痛み(とくに歩くと強まる痛み)
  • 足のむくみ、発熱、体重の減り、咳の続き

症状がなくても、治療後の検査は決められた間隔で受けてください。検査の種類や間隔は、病状と治療の内容に合わせて主治医が決めます。

よくある疑問(Q&A)

Q. 治療後3か月のMRIで腫瘍が残っていると言われました。効かなかったのでしょうか?
A. 3か月で残って見えても、6か月で奏効に変わる人がいます。79人の検討では、3か月で奏効が53人、6か月で59人でした(Autorino 2026)。ただし、治療の効果が足りない場合もあるため、時間を置いた再評価や、PETや生検の追加などを、主治医が総合して決めます。

Q. 治療後のMRIで、線維化か再発かが分からないと言われるのはなぜですか?
A. 放射線のあとは、炎症や線維化で骨盤の形が変わり、従来のMRIだけでは残存・再発と区別しにくいことがあるためです。DWIや造影の動態など機能画像が助けになります(Hameeduddin 2015)。

Q. 治療後の腰やお尻の痛みは、再発でしょうか?
A. 仙骨を中心とした脆弱性骨折の可能性もあります。骨盤の照射後に骨折が起こる頻度は14%と報告され、約4割は症状がありません(Sapienza 2020)。痛みが続くときは、治療を受けた病院に相談してください。

Q. 治療後にMRIを撮れば、遠隔転移も分かりますか?
A. 骨盤のMRIは骨盤内の評価に向いており、肺などの遠隔転移は胸部CTやPET-CTで調べます。奏効後の再発は、遠隔転移が86%を占めたという報告があります(Kim 2025)。

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参考文献

  1. Pötter R, Tanderup K, Schmid MP, et al. MRI-guided adaptive brachytherapy in locally advanced cervical cancer (EMBRACE-I): a multicentre prospective cohort study. Lancet Oncol. 2021;22(4):538-547. PubMed
  2. Schernberg A, Bockel S, Annede P, et al. Tumor Shrinkage During Chemoradiation in Locally Advanced Cervical Cancer Patients: Prognostic Significance, and Impact for Image-Guided Adaptive Brachytherapy. Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2018;102(2):362-372. PubMed
  3. Autorino R, Macchia G, Russo L, et al. Which is the best timing to assess response after chemoradiation in locally advanced cervical cancer (BRILACC)? Strahlenther Onkol. 2026;202(5):508-515. PubMed
  4. Schreuder SM, Lensing R, Stoker J, et al. Monitoring treatment response in patients undergoing chemoradiotherapy for locally advanced uterine cervical cancer by additional diffusion-weighted imaging: A systematic review. J Magn Reson Imaging. 2015;42(3):572-94. PubMed
  5. Hameeduddin A, Sahdev A. Diffusion-weighted imaging and dynamic contrast-enhanced MRI in assessing response and recurrent disease in gynaecological malignancies. Cancer Imaging. 2015;15(1):3. PubMed
  6. Kim YJ, Yoo YJ, Jang JY, et al. Follow-up strategies for patients with cervical cancer who achieved complete response after definitive chemoradiotherapy. Int J Gynecol Cancer. 2025;35(8):101933. PubMed
  7. Feddock J, Randall M, Kudrimoti M, et al. Impact of post-radiation biopsies on development of fistulae in patients with cervical cancer. Gynecol Oncol. 2014;133(2):263-7. PubMed
  8. Sapienza LG, Salcedo MP, Ning MS, et al. Pelvic Insufficiency Fractures After External Beam Radiation Therapy for Gynecologic Cancers: A Meta-analysis and Meta-regression of 3929 Patients. Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2020;106(3):475-484. PubMed

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