CPAMのCT 肺分画症との違いと胎児期の見え方

妊婦健診の胎児エコーで「肺にCPAM(先天性肺気道奇形)の疑い」と言われました。肺分画症とは何が違うのですか? CTや胎児の画像ではどう見えるのでしょうか。
CPAMは、生まれつき肺の一部が嚢胞(液体や空気の袋)や細かい袋の集まりに置き換わる病気です。肺分画症との大きな違いは、血液の流れ込み方です。CPAMは通常の肺動脈から血液を受け、分画症は大動脈などの異常な動脈から受けます。胎児期は小さくなることも多く、経過を追って判断します。

先に結論:CPAMは「肺の一部が嚢胞状・充実性になる先天異常」。肺分画症との区別は血液の流れ込み方(肺動脈か、体循環の異常動脈か)

項目 ポイント
何か 先天性肺気道奇形(旧名:先天性嚢胞性腺腫様奇形、CCAM)。先天性の肺の形成異常の代表。先天性肺形成異常全体で出生1万人あたり4人程度
胎児期 エコーで嚢胞状または高エコー(白い)の腫瘤として見つかる。妊娠中に小さくなる例も多い
出生後の画像 CT(造影)で嚢胞の大きさ・充実性部分・周囲への圧排・異常な動脈の有無を調べる
肺分画症との違い 分画症は大動脈などから異常な動脈が入る。両方の特徴を持つ「ハイブリッド病変」もある
注意 まれに感染・気胸・悪性腫瘍と関連する。症状がなくても専門施設での経過観察が必要

CPAM(先天性肺気道奇形)とは

CPAMは、肺の発生の途中で気道(気管支から肺胞までの空気の通り道)の枝分かれがうまくいかず、肺の一部が嚢胞や細かい袋の集まりに置き換わった状態です。以前は先天性嚢胞性腺腫様奇形(CCAM)と呼ばれていました。

先天性肺形成異常には、CPAMのほかに、肺分画症、先天性肺葉過膨張、気管支原性嚢胞、気管支閉鎖があり、まとめて出生1万人あたり4人とされています(Pederiva 2023)。多くは胎児超音波検査で見つかり、出生後の数か月以内に造影CT(CT血管撮影)で確かめられます(Pederiva 2023)。

病型分類は見直されている

CPAMは、Stockerという病理学者の分類で、type 0からtype 4までの5つに分けられてきました(Shimohira 2007)。近年は病理・遺伝子の研究が進み、分類の意味が見直されています(Dehner 2023)。

旧来の呼び名 近年の見直し(Dehner 2023)
type 0 現在は先天性肺胞形成不全(congenital acinar dysplasia)と呼ばれ、生まれつきの遺伝子の変化が関わる
type 1 体の細胞に生じたKRAS遺伝子の変異が見つかる。場合によっては粘液性腺癌に進む可能性がある
type 2 気管支閉鎖によって肺の発生が途中で止まった結果の、後天的な病変と考えられている。肺分画症(葉内・葉外)とも病理像がよく似る
type 3 KRAS変異がみられる可能性がある
type 4 現在は胸膜肺芽腫(pleuropulmonary blastoma)type Iと呼ぶ(旧type 4)

画像診断の現場では、この分類をそのまま画像から言い当てるのは難しいことに注意が必要です。13例の病理と照らし合わせたCTの研究では、嚢胞のうち最大のものが2.5cmより大きい病変は8例すべてがtype 1でした。しかし、嚢胞が2.5cm以下の病変ではtype 1、2、4が混在し、充実性の病変ではtype 2と3が区別できませんでした(Shimohira 2007)。そのため、画像報告では病型名より、嚢胞の大きさ・充実性部分・周囲への影響を具体的に書くことが大切です。

胎児期の見え方:エコーとMRI

CPAMは、妊娠中期の定期的な胎児エコーで見つかることが多い病変です。エコーでの見え方は、大きく次の2つに分けられます。

見え方 特徴
嚢胞型・混合型 胸郭の中に無エコー(黒い)の嚢胞が見える。大きな嚢胞(dominant cyst)があると、CVRが低くても胎児水腫に注意が必要(下記)
高エコー型(充実性に見える) 小さな嚢胞が集まり、均一に白く見える。周囲の正常な肺より明るい

病変の大きさは、妊娠中に変わる

妊婦176人・579回の超音波検査を調べた研究では、病変の相対的な大きさは妊娠が進むにつれて小さくなる傾向がありました。ただし、そのパターンは見え方で異なり、嚢胞型・混合型は大きさが単調に小さくなり、高エコー型は妊娠27週ごろまで大きくなってから小さくなっていました。大きさのピークの予測は、嚢胞型・混合型で21〜22週、高エコー型で25〜26週でした(Delacourt 2019)。

CPAMまたは肺分画症と出生前に診断された66人を18年間追った研究でも、56%の病変は妊娠中に小さくなりました。生存率は94%で、69%は手術をせずに経過をみることができました。出生後の新生児期を過ぎてから症状が出た子も19%いました(Karlsson 2022)。

胎児水腫のリスクを見積もる:CVR

病変の大きさを胎児の大きさに合わせて評価する指標に、CVR(CPAM volume ratio)があります。病変を3方向で測って楕円体の体積として計算し、頭囲で割った値です。胎児CPAMの研究では、CVRが1.6を超えて見つかった16人のうち12人(75%)に胎児水腫(胎児のむくみ。重い状態のサイン)が起こりました。CVRが1.6以下の42人では7人(16.7%)で、そのうち1人を除いて大きな嚢胞(dominant cyst)を伴っていました。大きな嚢胞のある例を除くと、胎児水腫は36人中1人(2.8%)でした(Crombleholme 2002)。

この研究では、CPAMのうち胎児水腫になる例は最大40%、自然に消える例は最大15%と書かれています。つまり、同じCPAMでも経過は一様ではありません。大きさの推移を妊娠中に追うことが基本です。

胎児MRIの役割

エコーで区別しにくいとき、胎児MRIが診断を助けます。胎児MRIを受けた52病変では、CPAM 28、肺分画症4、肺葉過膨張9、ハイブリッド病変9、気管支原性嚢胞2に分けられ、出生後の診断と一致したのは51病変(98%)でした(Pacharn 2013)。

症例 胎児(左肺) CPAM type III

胎児 左肺CPAM 妊娠23〜30週の超音波像
引用:Huber E, Tiberi A, Torres WI. Cureus 2026 (Figure 1) PMC、CC BY 4.0(加工なし)

妊娠23週から30週まで、左肺のCPAMを経過で撮影した胎児エコーの画像です。症例報告では、妊娠18週に左胸郭の均一な高エコーの腫瘤として見つかり、小さな嚢胞から構成され、血液は肺動脈から供給されている type III のCPAM と記載されています。CVRは0.27〜0.63の範囲で、胎児水腫はなく、心臓は軽く右へ偏位していました。

出生後のCTで見ること

出生後は、症状や胎児期の大きさに応じて、数か月以内に造影CT(CT血管撮影)が行われます(Pederiva 2023)。CTでは、次の点を整理します。

CTで見る点 何を意味するか
嚢胞の大きさ(2.5cmを基準に) 最大の嚢胞が2.5cmより大きければtype 1が多い。小さい嚢胞が集まる型は区別が難しい(Shimohira 2007)
充実性か嚢胞性か 充実性に見える病変は、微小嚢胞の集まりのほか、肺分画症などとの区別が必要
周囲への圧排 縦隔の偏位、周囲の肺の圧迫の有無は、症状と手術の判断に直結する
体循環からの異常動脈 大動脈などから入る異常な動脈があれば肺分画症やハイブリッド病変を考える
部位 ハイブリッド病変は左下葉に多く(66.7%)、CPAM単独では28.0%(Zhou 2025)

小児のCTには、必要性と利点を考えて検査を計画します。検査の方針は小児科・小児外科・放射線科の担当医が決めます。

症例 1歳男児 CPAM

CPAM 1歳男児 造影CT 横断像と冠状断像
引用:Alharbi AA, Al Sudairy NM. Cureus 2026 (Figure 1) PMC、CC BY 4.0(加工なし)

繰り返す下気道感染と、胸部X線の異常で紹介された1歳の男児です。造影CTの横断像(A)と冠状断像(B)で、右上葉と中葉のほぼ全体を占める大きな嚢胞状の病変があり、正常な肺を圧迫して縦隔が左へ偏位しています。症例報告では、充実性成分や異常な血管は指摘されていません。

肺分画症との違い

肺分画症は、気管支とつながらない肺組織が、大動脈などの体循環の動脈から血液を受ける病気です。くわしくは肺分画症とは?肺葉内・肺葉外分画症の違いと造影CTでの異常動脈で解説しています。

項目 CPAM 肺分画症
血液の供給 通常は肺動脈 大動脈など体循環の異常動脈
画像の形 嚢胞状、または微小嚢胞の集まりで充実性に見える 充実性・嚢胞状のどちらもある。異常動脈の走行が決め手になる
CTでの決め手 異常な体循環動脈がない 造影CTで大動脈などからの異常動脈を示す

ところが、両方の特徴をあわせ持つハイブリッド病変があります。小児の手術で確かめられた393人(ハイブリッド87、CPAM 218、肺分画症88)を比べた研究では、ハイブリッド病変の95.4%に体循環からの動脈供給があり、66.7%が左下葉にありました(CPAMでは28.0%)。CTでハイブリッドと診断できた正診率は54.1%にとどまりました(Zhou 2025)。この研究では、嚢胞状で体循環の動脈があるタイプAの多くは、嚢胞の直径が2.85cm未満のtype 2のCPAMと肺葉内肺分画症の合併でした。体循環の動脈が見えないハイブリッド病変3例は、すべて誤診されていました(Zhou 2025)。

ここで大切なのは、CTで異常な動脈を探す習慣です。嚢胞状の病変を見て「CPAM」と決めつけず、肺分画症やハイブリッド病変を除外するために、いつも動脈の供給を確認します。造影剤を使わないCTでは、この動脈が分かりにくいことがあります。

そのほかの鑑別

嚢胞状の肺病変の鑑別には、肺分画症、ハイブリッド病変、先天性肺葉過膨張、気管支原性嚢胞、嚢胞性の胸膜肺芽腫などがあります。新生児では、胸部X線で空気を含んだ嚢胞が見える場合に、気胸との区別も大切です。新生児の胸部X線の見方は新生児の胸部レントゲンで整理しています。

生まれたあとの経過と治療の考え方

症状のあるCPAM(呼吸困難など)は、手術が標準的な治療です。一方、症状のない子の扱いは専門家の間でも意見が分かれています(Pederiva 2023)。手術を考える理由には、繰り返す感染、気胸、まれな悪性腫瘍の発生があります。悪性腫瘍との関連は、type 4に相当する胸膜肺芽腫type Iや、type 1からの粘液性腺癌への進展として報告されていますが、実際の頻度は分かっていません(Pederiva 2023、Dehner 2023)。

出生前診断の例では、手術を要する割合は31%でした。縦隔の偏位、妊娠中のCVRが高いこと、病変が大きいことが、手術が必要になる予測因子でした(Karlsson 2022)。症状がなくても、画像と症状の経過を定期的に確認する計画が必要です。

長引く咳や繰り返す肺炎がある子では、先天性の肺の病気も鑑別になります。子どもの咳・喘鳴の見分け方は子どもの喘鳴・咳のレントゲンも参考になります。

画像診断のポイント

  • 嚢胞の大きさ、数、充実性成分の有無を具体的に書く
  • 周囲の肺・縦隔への圧排(縦隔偏位)の有無を書く
  • 造影CTで、体循環から入る異常動脈を毎回探す(肺分画症・ハイブリッド病変の除外)
  • 病型分類(type 0〜4)を画像だけで決めすぎない
  • 胎児期は大きさの推移(CVR)を追う

よくある疑問(Q&A)

Q. 胎児期にCPAMと言われました。生まれる前に手術が必要ですか?
A. 多くの場合、手術は出生後です。CVRが高い、胎児水腫が出てきた場合などには、胎児治療を検討することがあります(Crombleholme 2002)。経過は専門施設の産科・小児外科で相談してください。

Q. 妊娠中に病変が小さくなりました。治ったのですか?
A. 病変が胎児の成長に比べて小さくなることは多いですが(Delacourt 2019、Karlsson 2022)、画像で見えにくくなっても病変が残っていることがあるため、出生後の評価の方針は担当医が決めます。

Q. 症状がなければ、手術はしないのですか?
A. 症状のない場合の扱いは、手術を勧める立場と経過観察を考える立場に分かれています(Pederiva 2023)。出生前診断の66人の検討では、新生児期を過ぎても無症状だった子の多くは、小児期を通して無症状でした(Karlsson 2022)。

Q. CPAMはがんになりますか?
A. まれに、胸膜肺芽腫や粘液性腺癌との関連が報告されていますが、実際の頻度は分かっていません(Dehner 2023、Pederiva 2023)。長期の経過観察が大切です。

妊娠中の方や、お子さんに咳・呼吸の苦しさなどの症状がある場合は、気になる点を担当医や医療機関にご相談ください。

あわせて読みたい:重複大動脈弓(血管輪)とは

参考文献

  1. Pederiva F, Rothenberg SS, Hall N, et al. Congenital lung malformations. Nat Rev Dis Primers. 2023;9(1):60. PubMed
  2. Dehner LP, Schultz KAP, Hill DA. Congenital Pulmonary Airway Malformations With a Reconsideration and Current Perspective on the Stocker Classification. Pediatr Dev Pathol. 2023;26(3):241-249. PubMed
  3. Shimohira M, Hara M, Kitase M, et al. Congenital pulmonary airway malformation: CT-pathologic correlation. J Thorac Imaging. 2007;22(2):149-53. PubMed
  4. Zhou C, He D, Li J, et al. Computed tomography (CT)-based classification and management pathways for hybrid lesions in children: a comparative analysis of congenital pulmonary airway malformation (CPAM) and bronchopulmonary sequestration (BPS). Clin Radiol. 2025;88:106996. PubMed
  5. Crombleholme TM, Coleman B, Hedrick H, et al. Cystic adenomatoid malformation volume ratio predicts outcome in prenatally diagnosed cystic adenomatoid malformation of the lung. J Pediatr Surg. 2002;37(3):331-8. PubMed
  6. Delacourt C, Bertille N, Salomon LJ, et al. Prenatal natural history of congenital pulmonary malformations: MALFPULM population-based cohort study. Ultrasound Obstet Gynecol. 2019;54(3):381-388. PubMed
  7. Karlsson M, Conner P, Ehren H, et al. The natural history of prenatally diagnosed congenital pulmonary airway malformations and bronchopulmonary sequestrations. J Pediatr Surg. 2022;57(10):282-287. PubMed
  8. Pacharn P, Kline-Fath B, Calvo-Garcia M, et al. Congenital lung lesions: prenatal MRI and postnatal findings. Pediatr Radiol. 2013;43(9):1136-43. PubMed

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