膵嚢胞は治療が異なるため鑑別する必要がある。
- 仮性嚢胞:経過観察あるいはドレナージ
- MCN:手術
- IPMN:経過観察あるいは手術
- SCN:経過観察>>手術
- SPN:手術
膵嚢胞性疾患でチェックすべきこと
- 背景膵:慢性膵炎の有無、石灰化、増強パターン、主膵管拡張、T1WIでの信号強度
- 臨床所見:症状、年齢、性、部位、CA19-9
- 嚢胞の性状:形・壁の厚さ、壁在結節の有無、石灰化の有無(中心性or偏在性or卵殻状)、主膵管との交通。
- 信号強度:T1WI high→粘稠液、出血、脂肪、ケラチン、T2WI low→粘稠液、陳旧性出血、DWI→内容成分を反映。
仮性嚢胞 pseudocyst
頻度が非常に多いので、まず仮性嚢胞を疑う。
経過により、
- (1) acute pseudocyst
- (2) chronic pseudocyst
に分ける。
真性嚢胞 true tumor
- (1)貯留嚢胞(retention cyst)
- (2)先天性嚢胞(congenital cyst)
- (3)リンパ上皮嚢胞(lymphoepithelial cyst)
- (4)類上皮嚢胞(epidermoid cyst)
- (5)類皮嚢胞(dermoid cyst)
※(3)~(5)は扁平上皮で覆われた真性嚢胞であり、Squamous-lined cystsと総称される。
- 嚢胞内面が扁平上皮
- T1WI,DWIにて高信号、CA19-9↑ など共通する点が多いため。
非腫瘍性嚢胞の特徴のまとめ
仮性嚢胞 | なんでもあり。常に疑う。 | |
貯留嚢胞 | 膵癌や膵石、蛋白栓が閉塞機転となり、分枝膵管が流出障害を来し発生する嚢胞。IPMNと鑑別が画像上は難しい。 ただし、単房性→pseudocyst、多房性→IPMN,MCN もあり。MPDとの交通はあってもよい。 |
|
先天性嚢胞 | MPDとの交通なし、mural noduleなし、類円形 | |
リンパ上皮嚢胞 | 嚢胞内面 =扁平上皮、T1WI high DWI high CA19-9↑ malignant potentialはない。 |
男>女、膵外に突出、境界明瞭、辺縁に存在する。 石灰化、壁は厚く不整。ケラチンが豊富であるため単純CTで高吸収、T1WI高信号となる。 |
類上皮嚢胞 | 膵尾部の副脾から発生する。男女比は同じ。サイズは小さいことが多い。 | |
類皮嚢胞 | 20代(若い!)、脂肪成分やhairボールなどを含む。 |
嚢胞性腫瘍 cystic tumor
- IPMN・・・ 主膵管型(57~92%悪性。手術。)、分枝型、混合型
- MCN・・・悪性化あり→手術。
- SCT・・・ microcystic type(多い。ほぼ良性。)、macrocystic type、solid type
固形癌の嚢胞変性cystic degeneration of solid tumors
- solid-pseudopapillary neoplasm(SPN)
- その他:神経内分泌腫瘍(endocrine neoplasm、NET)、肉腫(sarcoma)、腺癌(adenocarcinoma)
参考)画像診断 vol.30 No.13 2010 膵嚢胞性腫瘍の画像診断 入江裕之先生ら