膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN:intraductal papillary mucinous neoplasm)とは?

  • 粘液産生性上皮の乳頭状増殖からなる膵管内腫瘍。
  • 高齢の男性に多い。
  • 過形成→腺腫→腺癌(adenoma-carcinoma sequence)と進んでいく。
  • 膵管内で粘液貯留し、膵管拡張する。
  • 主膵管型、分枝型、混合型の3つのタイプに分けられる。
  • ERCPでは意外と細胞が取れない事が多いが、主膵管型や混合型では出やすい。
  • 悪性細胞の混在の可能性があるため、播種のリスクがあり、嚢胞をFNAはあまり行われない。

2017年IPMN/MCN国際診療ガイドラインが改訂された!

確診所見(high-risk stigmata)→手術適応

  • 造影される5mmを超える充実部
  • 主膵管径>10mm
  • 閉塞性黄疸

疑診所見(worrisome features)→EUSや細胞診などで精査。

  • 膵炎併発
  • 嚢胞>3cm
  • 主膵管径5-9mm
  • 造影される5mmに満たない充実部
  • 嚢胞壁の肥厚
  • リンパ節腫脹
  • 尾側の膵実質の萎縮を伴う主膵管径の急峻な変化
  • 2年で5mm以上の嚢胞のサイズ増大。
  • Ca19-9の増大

→この疑診所見が認められれば、超音波内視鏡(EUS:endoscopic ultrasound)での精査が必要。

疑診所見が認められない場合の経過観察の期間は?

嚢胞のサイズにより分類されている。

  • 10mm未満→CT/MRIで2-3年ごとにフォロー
  • 10-20mm→CT/MRIで年1回を2年間フォロー
  • 20-30mm→超音波内視鏡で3-6か月ごとにフォロー

することが必要となる。

※MRCPは嚢胞のサイズや個数、主膵管径の描出にすぐれるが、嚢胞内の小さな充実部位の評価は空間分解能で勝る超音波内視鏡での評価が必要となる。

IPMN : 主膵管型

  • 主膵管径>5mm
  • 57~92%に悪性原則手術適応
  • びまん性あるいは限局性の主膵管拡張
  • 程度の強い時は分枝膵管拡張や実質委縮あり。

IPMN : 分枝型

  • 膵頭部(中でも膵鉤部)に多い。
  • ぶどうの房状の分枝膵管の拡張(grape-like clusters)
  • 主膵管との交通を証明する→MRCPが有効。
  • 通常型膵癌のリスク因子である(分枝型IPMNは2.7%で癌化する(Springer Japan,p.19-26,2014)し、通常型膵癌は分枝型IPMNの2.5-9.2%に発生する(Ann Transl Med 3:286,2015)と報告されているため)
症例 50歳代女性

ipmn1

膵尾部に主膵管と連続する嚢胞性病変あり。

分枝型のIPMNを疑う所見。

IPMN : 混合型

  • 主膵管型と分枝型が組合わさったもの。
症例 80歳代男性

ipmn-mixed-type1

MIP像にて膵体部にて主膵管拡張あり。周囲に嚢胞性病変あり。混合型のIPMNを疑う所見。

ipmn-mixed-type2

T2WI横断像にて膵体部にて主膵管は14mmと拡張あり。

症例 80歳代 男性

ipmn1 ipmn2 ipmn3

膵体尾部に主膵管の拡張及び連続する多房性嚢胞性病変あり。混合型のIPMNを疑う所見。

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