膵槳液性嚢胞腺腫(SCN:serous cystic neoplasm,SCT:serous cystic tumor)
- 膵漿液性嚢胞腺腫は膵外分泌腫瘍の1%、膵嚢胞性腫瘍の4-10%を占める比較的まれな腫瘍。
- 中年女性の体尾部に生じやすい。男女比1:2。
- 単発が多いが、von Hippel-Lindau病では多発することがある。
- 微小嚢胞の集蔟からなる良性腫瘍。ほとんど悪性はない。
- 血管が豊富なため、隔壁は多血性(上皮下の間質には毛細血管が豊富)。よく染まる。
- 腫瘍中心部に石灰化を伴う星芒状瘢痕を伴う事あり。
- 嚢胞内出血の頻度が高い(T1WI highの部分あり)。T2WI/MRCPにてhigh。
嚢胞形態からの亜分類
1. microcystic type (=glycogen rich type)
- 最も多い。良性腫瘍。(稀に悪性)
- serous microcystic adenoma(SMA)
2. macrocystic type
- 嚢胞が大きく数が少ない(oligocystic)。
- 単房性のことがある。
3.solid type
- 肉眼的に嚢胞部分を認めない稀なタイプ。
膵槳液性嚢胞腺腫の画像所見
- ハチの巣(スポンジ様)状の3-5mm大の無数の嚢胞性病変。
- 造影にて多血性(間質の毛細血管増生による)で隔壁や内部も一部染まる
- 内部に出血伴う→T1WI highあり
- でも槳液性なのだから、基本は水の信号→T2WI high、MRCP high
※いずれもPK(乏血性、solid)と鑑別点になる。
※内分泌腫瘍(多血性、solid)と鑑別点はMRCP!(T2WIでは内分泌腫瘍もhighになるが、heavy T2では水のようにはhighにならないため。)
なのでSCNは、「染まる水」と表現されることがあります。
MRCPのようなheavy T2WIで高信号を呈する水であることが重要です。
またよく染まるので、多血性腫瘤(NET)などとの鑑別が必要となることがあります。
症例 60歳代男性 SCNとしてフォロー中
膵体尾部に嚢胞性病変あり。
単純CTでのCT値の平均は8.76HUであり、造影早期相では、61HUと造影効果あり。
MRIのT2強調像では著明な高信号、造影CTでは一部に造影効果あり。
mircocystic typeの漿液性嚢胞腺腫(SCN,SCT)を疑う所見です。