目次
粘液性嚢胞性腫瘍(MCN:mucinous cystic neoplasm)とは?
- 大部分は女性。
- 膵体尾部に多い(90%以上)。
- 病理組織所見で卵巣様間質(ovarian-type stroma)が認められる。
- 悪性(腺癌)の可能性あり(17%)→原則手術。
- 厚い線維性被膜と隔壁を持つ多房性腫瘍。時に単房性。
- 主膵管との連続性は認めないことが多い。
- 肉眼的形態は「夏みかん」に例えられることが多い。
- 鑑別:IPMN、macrocystic typeの槳液性嚢胞腺腫
MCTとIPMNの鑑別点
MCT | IPMN | |
性 | 女性 | 男性>女性 |
年齢 | 若年~中年 | 高齢 |
発生部位 | 膵体尾部 | 膵頭部(膵鉤部) |
嚢胞の形態 | 球形~楕円形(ミカン) | ぶどうの房状 |
共通の被膜 | あり | なし |
卵巣間質 | あり | なし |
膵管との交通 | 稀 | ほとんどあり |
MCNの画像所見は?
- 中心部は大きな嚢胞、辺縁部は小嚢胞(mural cyst)、壁内嚢胞(intramural cyst,cyst in cyst)。
- 壁や隔壁に石灰化を伴うこともある。
- 内容液は粘液であり様々な濃度を呈する。蛋白濃度や粘稠度が高ければ、T1強調像やDWIで高信号を示し、CTでは水よりも高吸収となる。ただし、水と同様の信号強度を示すものも少なくない。
- 壁在結節(悪性の52%、良性の22%)を認めることがある。
- 4cm以下、壁在結節なしは良性とされる。
症例 50 歳代の女性。検診の腹部超音波検査で膵腫瘤を指摘。
2013年放射線科診断専門医試験問題47より引用。
中年女性に膵体部にみかんを真ん中で切ったような嚢胞性病変といえばMCN。
尾部では主膵管の拡張あり。
症例 80歳代女性 背部痛
(2009年放射線科診断専門医試験問題50より引用。)
膵尾部に嚢胞性病変あり。左壁に壁在結節あり、造影効果あり。
FDG-PETにて同壁在結節の部位に異常集積あり。
粘液性嚢胞腺癌(MCNの悪性)が疑われる。
症例 35 歳の女性。検診にて腹部胞性病変を指摘された。
2005年放射線科診断専門医試験問題45より引用。
左腎の前方に腎を圧排する単房性と思われる嚢胞性病変あり。
膵体部〜尾部由来と考えられ内部には造影効果を有する壁在結節あり。
性別や部位よりMCNを疑う所見。
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