播種性非結核性抗酸菌症
- 非結核性抗酸菌症は肺内疾患が多いが、それ以外にも、皮膚・軟部疾患、播種型、リンパ節、関節などに病変を形成することがある。
- 播種性非結核性抗酸菌症はM. avium complexが皮膚、軟部組織、骨髄など全身に散布された病態。
- ほとんどが免疫不全患者であり、主にAIDS患者の報告例が多い。
- CD4陽性T細胞<50/μlで発症リスクが上がる。
- ART導入後の免疫再構築症候群として発症した報告もある。
- 症状は発熱、夜間発汗、体重減少、倦怠感、下痢、腹痛。
- 消化管を介して感染して、血行性播種する。
- 罹患臓器は脾、リンパ節、肝、小腸、骨髄に好発するが、肺、副腎、胃、中枢神経は少ないとされる。
- 多発性骨病変を認めることもあり、溶骨性・骨硬化性病変を呈する。
- 確定診断は血液、骨髄、肝生検など2カ所以上の連続しない領域からM. avium complexが検出されることである。
- 細胞性免疫低下にはTh1細胞のサイトカイン(IFN-γ、IL-12)に関連する病態が存在することを認識しておきたい。
播種性非結核性抗酸菌症の原因
先天性
- メンデル遺伝型抗酸菌易感染症(MSMD)など。
後天性
- CD4減少
- 後天性免疫不全症候群(AIDS)
- 特発性CD4減少
- ステロイド・免疫抑制薬使用
- 抗IFN-γ中和自己抗体
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参考文献:
- 呼吸器ジャーナル 66:680-5
- Kekkaku.2015;90:457-61
- Clin Radiol.1998;53:816