先に結論:骨島(こっとう)とは
- 骨の中(海綿骨)に、硬い骨(緻密骨)が小さく固まったもの。英語でbone island、良性です
- ほかの目的のレントゲンやCTで偶然見つかることがほとんどで、症状はなく治療不要
- CTでは均一に白く、ふちがトゲのように周りへなじむ形が特徴
- 注意: 前立腺がん・乳がんなどの骨転移も白く写るため、がんの治療歴がある・大きくなる・数が多い場合は、骨シンチグラフィやMRI、経過観察で区別します
骨島(bone island)とは?
- 骨島(読み方は「こっとう」、英語ではbone islandまたはenostosis(内骨腫))は、海綿骨内に緻密骨が局所的に発育した良性の骨病変。
- 通常は無症状であり、他の目的で撮影されたX線やCT検査で偶然発見されることが多い。
- 骨盤、大腿骨、そのほかの長管骨に多いが、脊椎や肋骨など全身のどこにでもできる(Greenspan 1995)。
- 骨表面より突出した緻密骨の塊は骨腫(osteoma)という。
- 椎体・腸骨・大腿骨などに多数の斑点状の骨島を特徴とする遺伝性疾患として骨斑紋症がある。
- 骨島自体は臨床的な重要性は低いことが多いが、画像上、骨転移や骨肉腫などの悪性腫瘍と鑑別が必要となる場合がある。
骨島(bone island)のCT画像所見、MRI,骨シンチの特徴
- CTは、骨の微細構造を描出する能力に優れており、骨島の診断において中心的な役割を果たす。
- 均一な高吸収域:骨島は緻密骨で構成されているため、CTでは周囲の海綿骨と比較して非常に高い吸収値を示す。その内部は均一であり、石灰化や骨化のムラは見られない。
- 明瞭な境界と棘状の突出:骨島の最も特徴的で鑑別に有用な所見は、辺縁の性状である。骨島は通常、周囲の海綿骨と境界が明瞭であるが、その辺縁から周囲の骨梁に向かって放射状に伸びる短い棘状の突出(spiculated margin(棘状の縁) または thorny radiation(刺のような放射状突起))を認めることが多い。これは、骨島を構成する緻密骨が周囲の海綿骨の骨梁と連続していることを反映していると考えられており、骨転移などの悪性病変との鑑別において非常に重要な所見となる。CT値も参考になり、未治療の造骨性転移との比較では、平均CT値885HU未満・最大CT値1060HU未満なら転移を考える基準で、感度・特異度とも約95%と報告されています(治療後の転移には当てはまりません)。ただし、辺縁が丸みを持った突起状に認めることもある。治療後の造骨性転移はCT値が上がるため、平均CT値885HUを閾値とした正診率は、未治療の転移との区別では91.7%だが、治療後の転移との区別では81.7%に下がると報告されている。がんの治療歴がある患者では、CT値だけで骨島と決めないことが大切である。
- 骨破壊や骨膜反応の欠如:骨島は良性の発育異常であり、周囲の骨皮質を破壊したり、骨膜反応を引き起こしたりすることはない。病変が骨皮質に接している場合でも、皮質骨との連続性は保たれ、破壊像は見られない。
- 大きさと増大傾向:通常、骨島は小さな病変であることが多い。稀に大きな骨島(giant bone island)も報告されており、その場合は悪性腫瘍との鑑別がより慎重になるが、基本的な画像特徴は同様。また、骨島は通常、長期間にわたって大きさの変化が見られないか、非常に緩徐な増大しか示さない。著明な増大傾向や疼痛などの症状を伴う場合は、他の疾患を疑う必要がある。
- MRIではT1WI,T2WIで骨皮質と同様に低信号を示す。
- 骨シンチグラフィでは、集積を伴わないことが多いが骨芽細胞を伴う骨島では集積することもある。
症例 50歳代女性 スクリーニング

右腸骨に骨硬化性病変を認め、辺縁に短い棘状の突出を認めています。
骨島を疑う所見です。
症例 70歳代女性

仙骨右側に骨硬化性病変を認め、辺縁に短い棘状の突出を認めています。
骨島を疑う所見です。
症例 50歳代男性

右肋骨に骨皮質と同程度の骨硬化性病変を認めています。
骨島を疑う所見です。
症例 70歳代男性

右腸骨に骨皮質と同程度の骨硬化性病変を認めています。
骨島を疑う所見です。
骨島(bone island)の鑑別診断
- 造骨型の骨転移(特に前立腺癌や乳癌など):境界が比較的不明瞭であり、辺縁の棘状突出(thorny radiation)がはっきりしないことが多い。また、多発する傾向がある。
- 骨肉腫や骨軟骨腫などの骨腫瘍:骨肉腫では骨破壊や骨膜反応、軟部組織腫瘤を伴うことが多く、骨軟骨腫では骨皮質から連続して外向きに発育する形態をとるため、典型的な例では鑑別は比較的容易。
非典型的な骨島:痛み・増大・集積があるとき
骨島の典型像は、①痛みや圧痛がない、②中心が高濃度で辺縁に棘状の突出(thorny radiation)がある、③CT値の平均が885HUを超える、④骨シンチで集積しない、⑤経過で変わらない、の5点にまとめられています(Bedard 2020)。
一方で、痛み、見慣れない形、CT値の外れ、集積の亢進、増大のいずれかを示す「非典型的な骨島」では、造骨性転移、低悪性度中心性骨肉腫、類骨骨腫、骨芽細胞腫との区別が難しくなります。非典型的な骨島10例11病変の報告では、骨シンチで集積を伴ったものが4病変、経過で増大したものが7病変あり、骨島に似た類骨骨腫も1例含まれていました(Bedard 2020)。
- 上の典型像がそろえば骨島として扱いやすい
- 痛み・増大・集積・CT値の外れがあれば、以前の画像との比較、MRI、必要に応じて生検を考える
- がんの既往がある人の新しい硬化性病変は、造骨性転移を念頭に経過を確認する
骨島でよくある疑問(Q&A)
Q. 「肋骨島(肋骨の骨島)」と言われました。ほかの骨の骨島と違いますか?
A. 同じものです。骨島は骨盤や大腿骨などに多いものの、脊椎や肋骨を含め全身のどこにでもできます(Greenspan 1995)。胸部CTでは肋骨の中の小さな白い点として見つかります。上の症例のように、周りの骨梁になじむ形で、経過で変わらなければ骨島として扱います。
Q. 骨島ができる原因は何ですか?
A. 生まれつき、または成長の過程でできると考えられています。骨が作られる途中(軟骨内骨化)で、本来は吸収されるはずの硬い骨が残ったものと説明されています(Greenspan 1995)。生活習慣や食事が原因でできるものではありません。
Q. 腸骨硬化性骨炎(osteitis condensans ilii)とは違いますか?
A. 別の病態です。腸骨硬化性骨炎は、仙腸関節の腸骨側に広く骨硬化がみられる非炎症性の病態で、腰痛の原因になることや、体軸性脊椎関節炎との区別が必要になることがあります(Parperis 2020)。骨島は小さな点状・類円形の硬化で、関節に沿って広がる形にはなりません。
※がんの治療歴がある方や、同じ場所の痛みが続く方は、検査を受けた医療機関で相談してください。
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