中脳被蓋(上小脳脚交叉)に左右対称なDWI高信号
- 脳のMRIのDWI(拡散強調像)で中脳被蓋腹側に左右対称な結節状の高信号を認めることがあるが、これは正常所見で上小脳脚交叉を見ている。(上小脳脚交叉は、脳幹における神経線維の重要な交叉部。)
- 同所見を脳梗塞と誤診しないように注意が必要。
- 拡散テンソル画像(DTI)では同部を走行する神経を確認することができる。
- 同じように主に大脳脚から内包後脚にかけての錐体路においても神経線維が走行することにより正常でもDWIやT2WIで高信号を示すことがあるのでこちらも脳梗塞としないように注意が必要。
症例 60歳代男性 スクリーニング
DWIで中脳被蓋に対称性に高信号spotを認めますが、ADCでは周囲とほぼ等信号で、有意な信号低下を認めません。
正常な上小脳脚交叉の高信号を疑う所見で有意ではありません。
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参考文献:画像診断 Vol.43 No.5 2023 P392-3