眼窩内転移(Orbital metastasis)の原発巣と症状
- 眼窩外転移はまれで、全眼窩腫瘍の2-11%を占め、脈絡膜転移よりもかなりまれ。
- 原発巣として、成人では乳癌のほかに前立腺癌、悪性黒色腫、肺癌が挙げられる。一方、小児では神経芽腫、白血病、Ewing肉腫などが鑑別診断に入る。
- 乳癌患者では、約8〜10%に眼窩内転移が生じるとされ、眼窩内転移を起こす症例の約48〜53%が乳癌患者であることが報告されている。
- 複視、疼痛、視力低下、眼瞼下垂、眼球突出や陥凹などの症状が起こる。
眼窩内転移の原発巣とMRI画像診断のポイント
- 眼窩内脂肪組織の変化や外眼筋の腫大などが特徴的。
- 眼窩外転移は通常片側性であり、外眼筋を主に含むことはまれ。
- 乳癌の眼窩内転移とその他の悪性腫瘍眼窩内転移の鑑別点として、乳癌の場合、比較的サイズの大きい眼窩内腫瘍浸潤にもかかわらず陥凹が見られる点が特徴。
- 乳癌では、特に眼窩内脂肪組織や外眼筋への転移が多いとされる。
- スキルス胃癌も眼球陥凹を呈するとされている。
- 悪性黒色腫では、外眼筋への直接転移が多く、前立腺癌では、骨領域からの転移が眼窩内へ進展する傾向がある。
眼窩内転移と鑑別診断
- 原発性眼窩悪性腫瘍
- 眼窩横紋筋肉腫
- 眼窩リンパ腫
- 涙腺腫瘍
- 眼内腫瘍の眼窩外拡大
- 脈絡膜メラノーマ
- 脈絡膜転移
- 視神経腫瘍
- 視神経グリオーマ
- 視神経髄膜腫
- 眼窩血管病変
- 眼窩感染症
- 甲状腺関連眼症
- 炎症性/肉芽腫性状態
- 眼窩偽腫瘍
- IgG4関連眼窩疾患
- 多発血管炎性肉芽腫症
- サルコイドーシス
症例 50歳代女性 右眼の痛みと視力低下(乳癌の既往あり)
引用:radiopedia
右眼窩内脂肪組織および外眼筋の異常な造影効果を認めています。
なお眼球陥凹は認めていません。
乳癌の既往があり、乳癌の眼窩内転移と診断されました。
関連記事:
参考文献:
- 画像診断 vol.43 No.13 2023 P1239
- radiopedia