膝窩動脈捕捉症候群(PAES:popliteal artery entrapment syndrome)
- 膝窩動脈捕捉症候群は、先天的な膝窩動脈の走行異常や腓腹筋内側頭の破格、線維性バンドにより、膝窩動脈が狭窄、閉塞をきたす疾患。
- 30歳未満の男性に多い。
- 症状は間欠性跛行、下腿疼痛、下腿腫脹などの虚血症状。
- 若年者の筋肉の良く発達したアスリートに間欠性跛行を生じた場合はこの症候群を考慮する。
- タイプⅠ〜Ⅵに分類される。腓腹筋内側頭に捕捉されるタイプⅠとⅡが多い。
- 約40%は両側に認める。
- 鑑別疾患は、閉塞性動脈硬化症、バージャー病、膝窩動脈外膜嚢腫、腰部脊柱管狭窄など。
膝窩動脈捕捉症候群の画像所見
- CTやMRIで膝窩動脈と静脈の間に筋束を認める。通常は伴走する動静脈が異常に分離する。膝窩動脈が異常に内側偏位したり、狭窄や狭窄後拡張などを認める。
- 造影3DーCTAやMRAで血管の走行を確認する。
- 狭窄部に血栓や動脈瘤化を認めることがある。
正常例
腓腹筋内側頭と腓腹筋外側頭の間を膝窩動脈が走行している。
症例 17歳男性(スポーツマン) 間欠性跛行の背景に急性左脚虚血の症状
腓腹筋内側頭が発達し、外側に偏位し、膝窩動脈を内側に圧排しています。
左優位に同所見を認め、左側の膝窩動脈のflow voidは消失しています。
横断像においても、
腓腹筋内側頭が発達し、外側に偏位し、膝窩動脈を内側に圧排し、膝窩動脈のflow voidは消失している様子がわかります。
左側において(腓腹筋内側頭が、膝窩動脈を内側に圧排し)膝窩動脈の狭窄〜閉塞を来たし、末梢の血流が減り、側副血行路が発達しています。
膝窩動脈捕捉症候群(popliteal artery entrapment syndrome)と診断されました。
引用:radiopedia
参考文献:
- これだけは知っておきたい心臓・血管疾患の画像診断 P358-9
- 心臓・大血管 画像診断の勘ドコロ P264ー5