三角靭帯(内側側副靭帯)(deltoid(medial collateral)ligament)
- 三角靭帯は(脛骨)内果の下縁から起始し距骨、踵骨、舟状骨に付着する靭帯。
- 付着する位置によって、深層(前脛距部、後脛距部)、浅層(脛舟部、脛ばね部、脛踵部)の5部位に分かれる。
- 全体的に三角形の形をしているため三角靱帯と呼ばれる。
こちらのイラストもわかりやすいです。
引用:radiopedia
三角靭帯(内側側副靭帯)のMRI所見
浅層
- 脛舟部は厚い線維性構造物であり、前方の関節包のように見える。MRI上靭帯と認識されないこともある。
- 脛ばね部は分類されないこともある靭帯成分。
- 脛踵部は厚い靭帯。
深層
- 後脛距部はきわめて厚い靭帯であり、MRIでよく同定できる。
実際の画像を見てみましょう
まず横断像から。
脛骨内果から浅層(脛舟部、脛ばね部、脛踵部)が前からおおよそ上の位置にあり、その下方深部に深層(前脛距部、後脛距部)がある。
後脛距部は非常に太いのでわかりやすい。
続いて冠状断。
前脛距部は太いので非常にわかりやすい。
その浅層を上下に走行する浅層がある。ただしこの浅層が脛舟部、脛ばね部、脛踵部のどれなのかは判別ができない。
画像はいずれも足関節MRI画像診断ツールの横断像、冠状断像より。
三角靭帯(内側側副靭帯)損傷で知っておくべきこと
- 三角靭帯の受傷機転は外反強制であるが、非常に強靭な靭帯であるため、単独での損傷はまれ。
- 三角靭帯損傷は、外果骨折もしくは両果部の骨折に合併すると報告されている。
- 果部の骨折や遠位脛腓間の開大などがある場合は、三角靭帯損傷を積極的に考える必要がある。
- 外側靭帯損傷のMRI所見のある患者の35%は、同時に三角靭帯損傷もあるとされるため、外側靭帯損傷疑いでMRIが撮影された際にも三角靭帯損傷の有無をチェックする必要がある。
三角靭帯(内側側副靭帯)損傷の画像所見
- 単純X線写真で、内果と距骨間の開大を認める。
- MRIでは三角靭帯に信号上昇を認めるのが基本。
- 浅層(脛舟部、脛ばね部、脛踵部)の三角靭帯損傷の場合では、損傷部位が脛骨内果の付着部損傷であることが多い。このため、付着部に沿った内果の骨髄信号上昇を認める。
- 深層(前脛距部、後脛距部)では線維の走行の乱れとそれに一致した信号上昇を損傷と判断する。
症例 30歳代男性
いろいろ所見はありますが、重要な靱帯のみ見ていきます。
まず冠状断像で前距腓靱帯(ATFL)の断裂を認めています。
また内側に目をやると三角靱帯深部で著明な高信号および腫大を認めており、損傷を疑う所見です。
次に横断像においても前距腓靱帯(ATFL)を同定できず、完全断裂が疑われます。
また三角靱帯深部には著明な腫大および異常高信号を認めています。
また踵腓靱帯(CFL)も近位で腫大を認めています。
外側側副靱帯損傷および断裂、三角靱帯損傷が少なくともあることがわかります。
引用:radiopedia
参考文献:足の画像診断 第2版 P182-5
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