足の捻挫は、多くが内反(足の裏が内側に向く方向(内返し強制))で起こり、外側の靭帯を傷める外側捻挫が最も多いタイプです(Doherty 2014)。

内くるぶしと外くるぶしを触ってみれば外くるぶしの方が下にありますよね。

これがその原因です。

つまり、足関節の捻挫では外側の靭帯が引っ張られやすく、損傷を受けやすいとされます。

今回は足関節の捻挫について外側の靭帯を中心に見ていきましょう。

足首をひねった。どの靭帯が痛みやすいの?

いちばん多いのは、くるぶしの外側の前距腓靭帯です。はれが強いときや歩けないときは、骨折がないか確かめましょう。

先に結論:足首の外側の靱帯と前距腓靱帯(ATFL)

足首の捻挫の多くは足の裏が内側を向く内返し(内反)で起こり、外側の靱帯が傷みます。最も損傷しやすいのが前距腓靱帯(ぜんきょひじんたい)です。

靱帯(略語) つなぐ骨 損傷の頻度
前距腓靱帯(ATFL) 腓骨の外果(そとくるぶし)の前 → 距骨 最も多い
前脛腓靱帯(AITFL) 脛骨と腓骨を前でつなぐ ときに損傷(高位捻挫)
踵腓靱帯(CFL) 外果 → 踵骨 ATFLと一緒に傷むことが多い
後距腓靱帯(PTFL)・後脛腓靱帯(PITFL) 外果 → 距骨の後ろ/脛骨と腓骨を後ろで 少ない

MRIでは、まず前距腓靱帯が途切れていないか・腫れていないかを見て、次に踵腓靱帯・前脛腓靱帯を確認します。前距腓靱帯は2本に分かれて見えるのが正常のことも多く、断裂とまちがえないよう注意します。急性の前距腓靱帯損傷に対するMRIの診断精度は高く、メタ解析で感度1.0・特異度0.9でした(Barini 2021)。※腫れが強い・体重をかけられないときは骨折も含めて整形外科で確認してください。

足関節の外側(外くるぶし)の靭帯

足首の外側の周囲では注意すべき5つの靭帯があります。

  • 前距腓靭帯(ATFL:anterior talofibular ligament):外果前縁から起始し距骨頸部外側に付着する
  • 後距腓靭帯(PTFL:posterior talofibular ligament):外果底部から起始し距骨後方突起の外側結節に付着する
  • 踵腓靭帯(CFL:calcaneofibular ligament):外果の先端付近から起始し踵骨外側面に付着する
  • 前脛腓靭帯(anterior tibiofibular ligament):脛骨遠位部と腓骨遠位部を前方でつなぐ
  • 後脛腓靱帯(posterior tibiofibular ligament):脛骨遠位部と腓骨遠位部を後方でつなぐ

の5つです。

  • 外側(側副)靭帯は腓骨外果より起始する靭帯で、通常は前距腓靭帯(ATFL)、後距腓靭帯(PTFL)、踵腓靭帯(CFL)の3つを指し、中でも前距腓靭帯(ATFL)は足関節全体の安定性に寄与しています。これらに前脛腓靭帯、後脛腓靱帯を含めることがある。
  • 靱帯損傷の頻度は前距腓靱帯(ATFL)が最も多い。
  • 踵腓靱帯(CFL)損傷は前距腓靱帯(ATFL)を伴うことが多く、単独損傷は少ない。
  • 後距腓靱帯(PTFL)、後脛腓靱帯の損傷は少ない。
  • なので、まず観察するべきは、なにがなんでも前距腓靱帯(ATFL)!次に、踵腓靱帯(CFL)や前脛腓靱帯を観察する。
  • 前距腓靭帯(ATFL)損傷では、同靭帯部に一致して疼痛、圧痛、皮下出血が見られる。

前距腓靱帯(ATFL)

  • 前距腓靭帯(ATFL)は足関節の底屈で緊張し、底屈を制限する。
  • 距骨の前方移動を制限しており、損傷により前方引き出し徴候が陽性となる。また、前距腓靭帯(ATFL)は関節包と密接に関連している
  • 前距腓靱帯(ATFL)は形態にバリエーションが知られており、靱帯束(band)の本数にばらつきがあり、2本に分かれることもある。(Orthop J Sports Med . 2021 Nov 19;9(11):23259671211047269.)この2本存在する正常例を断裂や損傷と診断しないように注意が必要。

前距腓靭帯(ATFL)・踵腓靭帯(CFL)・後距腓靭帯(PTFL)の正常解剖のMRI画像診断

実際の足首のMRI(正常例)で見ると、外くるぶし(腓骨)から前に向かって前距腓靭帯が、後ろに向かって後距腓靭帯がのびて、距骨とつながっているのがわかります。捻挫でいちばん傷みやすいのは前距腓靭帯です。

足首のMRI(横断・画像診断cafe正常例):前距腓靭帯・後距腓靭帯・腓骨・距骨・三角靭帯

次に、MRIによる画像診断です。

正常解剖を動画解説しました。

正常解剖はこちらで確認いただけます。

動画の一部をこちらで書き起こしました。

  • 前距腓靱帯(ATFL)は腓骨外果前縁から距骨頸部外側に付着し、境界が明瞭な帯状の靱帯。
  • 後距腓靱帯(PTFL)は腓骨外果底部から起始し、距骨後方突起・外側結節に付着し、扇状の形状を示す。

  • 踵腓靱帯(CFL)は腓骨外果前方下部から踵骨外側前方に付着する。長・短腓骨筋腱の深部を走行し、腓骨筋腱の腱鞘に密に接する。起始部から大きくカーブすることがあり、正常靱帯を損傷と診断しないように注意が必要。

足関節の靭帯損傷のMRI画像所見

MRIによる画像診断では、

  • 靭帯の狭細化
  • 靭帯の不整な走行
  • 靭帯の連続性の消失
  • 急性期には足関節外側部に浮腫性変化。内果や距骨内側の骨髄浮腫を認めます
  • 慢性期には靭帯の肥厚像、関節滑膜の肥厚、関節遊離体の出現

として認められます。

ただし、実際には骨折を除外するためにレントゲンをまず撮影され、MRIは治癒困難な場合などに限られます。

前距腓靭帯(ATFL)損傷の重症度とMRI所見

靭帯損傷は、一般に次の3段階(グレード)に分けて考えます。

重症度 靭帯の状態 MRI所見(主にT2強調像・脂肪抑制像)
グレード1(軽度) 靭帯が引き伸ばされた状態 靭帯の連続性は保たれ、靭帯の中やまわりに浮腫(高信号)
グレード2(中等度) 部分断裂 靭帯の一部が途切れる・細くなる・厚くなる、内部の高信号
グレード3(重度) 完全断裂 靭帯の連続性が完全に失われる、断端が波打つ、靭帯が見えない、まわりに液体貯留

慢性期になると、断裂した靭帯が細く伸びたまま、または厚い瘢痕として見えることがあり、急性期より判定が難しくなります。

実際の画像:前距腓靱帯の完全断裂(急性)

前距腓靱帯(ATFL)完全断裂 MRI 横断像
引用:Özen Atalay et al. Diagn Interv Radiol 2026(Figure 6)

足首の捻挫で受診した48歳の患者さんの横断MRIです。aで前距腓靱帯の完全断裂(矢印)がみられ、靱帯のあるはずの場所が液体の高信号に置き換わっています。b・cは脛腓間のすき間などの形態の計測例です。(出典:Özen Atalay et al. Diagn Interv Radiol 2026, Figure 6, CC BY-NC 4.0)

実際の画像:慢性の前距腓靱帯損傷(緩んで不整な靱帯)

前距腓靱帯 慢性損傷 前脛腓靱帯 MRI
引用:Chun et al. Korean J Radiol 2015(Figure 2)

27歳男性の慢性の前距腓靱帯(ATFL)と前脛腓靱帯(AITFL)の損傷です。Aの脂肪抑制T2強調横断像でATFLがとても緩んで不整になっています(矢印)。Bの斜横断プロトン密度強調像ではAITFLも不整で緩んでおり(矢印)、Cの関節鏡では遠位脛腓関節の開大が確認されています。(出典:Chun et al. Korean J Radiol 2015, Figure 2, CC BY-NC 3.0)

前距腓靭帯(ATFL)損傷の診断精度(MRIとエコー)

  • 急性の前距腓靭帯損傷では、MRIの感度は1.0、特異度は0.9と高い精度でした(7研究のメタ解析、Barini 2021)。
  • 前距腓靭帯断裂の診断でエコーとMRIを比べたメタ解析(9研究)では、感度はエコー約97%、MRI約87〜89%で、エコーの方が高い結果でした(Colò 2023)。

エコーは外来ですぐに行え、足首を動かしながら靭帯を観察できる利点があります。MRIは骨挫傷・軟骨損傷・腱の損傷など、靭帯以外のけがも一度に評価できます。

前距腓靭帯(ATFL)・踵腓靭帯(CFL)・後距腓靭帯(PTFL)の損傷のMRI画像診断の注意点

  • MRIにおける損傷の診断率は前距腓靱帯(ATFL)>踵腓靱帯(CFL)となる。
  • その理由として、踵腓靱帯(CFL)損傷の損傷部位は腓骨付着部近傍が圧倒的に多いが、踵腓靱帯(CFL)の腓骨付着部はちょうど後距腓靭帯の付着部と短腓骨筋腱に挟まれて存在していることと、撮像角度によっては踵腓靭帯付着部が細切れにみえるため。また踵腓靭帯は薄く踵骨外側壁に沿って存在するため、骨膜の一部のようにみえる場合もある。
  • 前距腓靱帯(ATFL)も踵腓靱帯(CFL)も損傷は急性期の方が慢性期よりもわかりやすいと報告されている。
  • 前距腓靱帯(ATFL)損傷が腓骨外果起始部で損傷すると治りにくいとされるが、その理由として踵腓靱帯(CFL)や後距腓靭帯(PTFL)の損傷を腓骨付着部で合併している可能性があるからと考えられる。これら3つの靱帯は外果の先端で合流が見られ、深層で連続していると考えられる。

前脛腓靭帯損傷について

  • 足関節捻挫によって断裂することがある。
  • 治癒しにくい捻挫として重要な靭帯損傷とされる。
  • たいていは果部骨折、脛骨遠位後面、腓骨骨幹の骨折を合併するが、単独での前脛腓靭帯損傷を起こすこともある。さらに三角靭帯損傷を伴っていることも多い。
  • 断裂すると足関節前方の疼痛や腫脹が認められる。
  • 足関節が背屈位になるような動作(しゃがみ込むなど)で痛みがある場合には、陳旧例の前脛腓靭帯損傷がある可能性がある。
  • 遠位脛骨と腓骨の間隔(tibiofibular clear space)は、単純X線の正面像・mortise像で正常では約6mm未満とされるが、脛腓靱帯の断裂により腓骨と脛骨の離開を認めることがある。

前距腓靱帯損傷の画像の見方(どこを見るか)

まずレントゲンで骨折を除外する

  • 足首の捻挫では、最初に骨折がないかを確かめます。診察所見からレントゲンが必要かどうかを決める判断基準(Ottawa ankle rules)は、足首と足の中ほどの骨折を除外する方法として、系統的レビューで感度がほぼ100%とされ、使うことで不要なレントゲンを30〜40%減らせると報告されています(Bachmann 2003)。
  • 捻挫と間違えやすい骨折には、第5中足骨基部骨折(下駄骨折・Jones骨折)、外果骨折(Weber分類)などがあります。くるぶしの下の小さな骨は、骨折ではなく副骨(腓下骨)のこともあります(腓下骨と脛下骨)。

MRIでの確認の順番

  1. 前距腓靱帯(ATFL):外くるぶしの前から距骨の頸部へ向かう帯を横断像で探し、途切れ・細さ・太さ・高信号・まわりの液体を見ます。
  2. 踵腓靱帯(CFL):冠状断・横断で、腓骨筋腱の深いところを走る靱帯を確認します。前距腓靱帯損傷で手術を受けた86例では、58.1%に踵腓靱帯損傷を合併していました(Koh 2023)。
  3. 前脛腓靱帯(AITFL)・脛腓間:脛骨と腓骨を前でつなぐ靱帯が厚く不整になっていないか、脛腓間が開いていないかを見ます。
  4. 内側の三角靱帯:同じ86例で、三角靱帯の浅層損傷29.1%・深層損傷44.2%がみられました(Koh 2023)(三角靱帯損傷のMRI)。
  5. 距骨の軟骨・骨と腓骨筋腱:同じ86例で、距骨などの骨軟骨損傷19.8%、腓骨筋腱の損傷17.4%を合併していました(Koh 2023)(距骨滑車の骨軟骨損傷、腓骨筋腱脱臼のMRI)。

見逃しやすい点・まぎらわしいもの

  • 2本に見える前距腓靱帯:正常でも2本の束に分かれていることがあり、断裂と読み過ぎない注意が必要です(上記)。
  • 慢性期の靱帯:古い損傷では、靱帯が細く緩んで見えたり、厚い瘢痕として見えたりします(上の慢性損傷の画像)。急性期のような液体の高信号がなくても、形の変化から損傷を考えます。
  • 高位の捻挫(脛腓靱帯の損傷):前脛腓靱帯の損傷は治りにくい捻挫として重要で、内側の三角靱帯損傷を伴うこともあります。
  • 足首の形との関係:MRIで足首の形を測った研究では、外くるぶしの高さと距骨の関節面の幅の比が、捻挫のあとに靱帯断裂がある人とない人を区別する独立した因子でした(Özen Atalay 2026)。研究段階の指標です。

CT・MRI・エコーが役立つ場面

  • エコー:外来ですぐに行え、足首を動かしながら靱帯を観察できます。前距腓靱帯断裂の検出ではMRIと同等以上の感度が報告されています(上記 Colò 2023)。
  • CT:小さな剥離骨折や骨片、関節面の骨折を詳しく見たいときに使われます。
  • MRI:痛みや腫れが長引く、不安定感が続く、手術を考えるといった場面で、靱帯だけでなく軟骨・骨・腱の合併損傷をまとめて評価できます。

足首のMRIの正常解剖は足関節MRIの正常解剖ツール(3方向)で、3方向の断面を動かしながら確認できます。

ちなみに内側の靭帯は?

まれですが、外反により足関節の捻挫が起こることがあり、その場合

が臨床的に重要。

関連記事:足関節の内側の三角靭帯(内側側副靭帯)損傷で重要なMRI解剖

前距腓靭帯(ATFL)損傷でよくある疑問(Q&A)

Q1. 足首の捻挫でMRIは必要ですか?

多くの捻挫はレントゲンで骨折がないかを確認し、保存的に治療します。痛みや腫れが長引く、足首がぐらぐらする、骨や軟骨のけがが疑われる場合などにMRIが検討されます。

Q2. MRIで前距腓靭帯が2本に見えるのは断裂ですか?

2本に分かれているのは正常のバリエーションのことがあります。断裂と決めるには、連続性の消失や周囲の浮腫などの所見を合わせて判断します。

Q3. ATFL(前距腓靭帯)とは何ですか?

外くるぶし(腓骨の外果)の前の縁から距骨の頸部へのびる靭帯で、距骨が前にずれるのを防いでいます。足首の捻挫で最も傷みやすい靭帯です。

Q4. レントゲンで「骨折はない」と言われたのに、痛みが長引きます。

前距腓靱帯の損傷に、踵腓靱帯・三角靱帯の損傷や、距骨の骨軟骨損傷・腓骨筋腱の損傷を合併していることがあります(Koh 2023)。痛みや腫れ、ぐらつきが続くときは、整形外科でエコーやMRIでの評価を相談してください。

参考文献:足の画像診断 第2版 P175-182

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