先に結論:距骨滑車の骨軟骨損傷

  • 距骨滑車の骨軟骨損傷は足関節の捻挫などで距骨の関節面の軟骨と軟骨下骨が傷つくもので、捻挫後に長引く痛み・腫れ・引っかかりの原因になります
  • X線では初期に見えにくく、MRIで骨髄浮腫・軟骨下嚢胞・骨軟骨片の分離や転位を評価します(Anderson分類)
  • 骨軟骨片の周りに液体が入り込む・転位している場合は不安定と考え、手術を検討します

距骨滑車の骨軟骨損傷(osteochondral disease(lesion) of talus:OCD/OCL)

  • 骨軟骨骨折、離断性骨軟骨炎、距骨滑車骨折などと呼ばれていたが、現在では骨軟骨損傷(OCD)として統一されている。距骨滑車の関節軟骨および軟骨下骨に生じる骨軟骨骨折であり、距骨滑車の内側や外側に生じやすい。
  • 距骨滑車は脛骨天蓋部との関節面を形成する。
  • 距骨滑車は捻挫によって脛骨天蓋部と衝突することで損傷を起こす。
  • 症状は持続する足関節の疼痛、腫脹、可動域制限、ロッキング、不安定性など。
  • 内反肢位による捻挫の場合、距骨の内後方(内側型OCD)、外反肢位による捻挫の場合は前外側(外側型OCD)の軟骨の欠損や軟骨下骨の骨挫傷を認める。
  • 外傷既往のない例や両側発症している例も認められる。
  • 外側靭帯損傷や外果の骨折を伴っていることが少なくない。

距骨滑車の骨軟骨損傷の分類(Anderson分類)

  MRI所見
Stage Ⅰ 軟骨下骨の骨挫傷(骨髄浮腫のみ)
Stage ⅡA 軟骨下嚢胞
Stage ⅡB 骨軟骨片の不完全分離
Stage Ⅲ 骨軟骨片の転位のない完全分離、分離部に液体あり
Stage Ⅳ 骨軟骨片の転位のある完全分離

  

  • StageⅠは単純X線写真や時にCTで同定できず、発見が遅れやすい。
  • StageⅡAの軟骨下嚢胞も単純X線写真では指摘困難であり、CT、MRIの発達とともに指摘された所見である。
  • MRIでOCDを観察するときは骨軟骨片の大きさ、形、母床骨との連続性、転位の程度に注意する。
  • Anderson StageⅠ、Ⅱの全例とⅢの内側病変のみ保存的治療を選択する。
  • 骨軟骨片が不安定な症例(Anderson Stage Ⅳ、Ⅲの外側病変)に対しては手術療法が適応になる。

症例 30歳代男性 2ヶ月前に受傷

引用:Radiopaedia

距骨滑車内側の慢性的な骨軟骨病変(離断性骨軟骨炎)で、不安定な断片を伴っている。Anderson分類のstageⅢに相当する距骨滑車の骨軟骨損傷と診断されました。

症例 30歳代女性 右足関節の疼痛、外傷の既往あり

引用:Radiopaedia

軟骨下領域の距骨滑車内側にT1WIで低信号域、STIRでは距骨の内側に見られる隣接する高信号で骨髄浮腫を示唆する所見あり。Anderson分類のstageⅠに相当する距骨滑車の骨軟骨損傷と診断されました。

 

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