神経核内封入体病(NIID:neuronal intranuclear inclusion disease)とは?

  • 2011年の日本神経放射線学会のMRI所見の発表以来、高率に存在する白質脳症として重要な鑑別疾患となった。
  • HE染色においてエオジン好性に染色される核内封入体が中枢・末梢神経の神経細胞や一般臓器の細胞の核内に広く認められる神経変性疾患。
  • NOTCH2NLC遺伝子上にGGCリピート配列の延長が原因。
  • 発症は幼児期から高齢者まで広範。
  • 孤立性、家族性の報告あり。
  • 症状は物忘れ、運動失調、自律神経障害(縮瞳や膀胱機能障害)が典型的だが、意識障害や全身性痙攣など多彩。
  • 経過中に、階段状悪化を生じる。
  • 特徴的なMRI所見からピックアップして皮膚生検が有用。
  • ただし、脆弱X関連振戦/運動失調症(fragile X-associated tremor/ataxia syndrome:FXTAS(読み方はエフエックス タス))が臨床、画像、病理学的所見が類似して鑑別に苦慮することがある。最終的には遺伝子検査が必要。

神経核内封入体病(NIID)の画像所見

  • DWIで皮髄境界の高信号が遷延する。(認めない症例もある。)
  • T2WI、FLAIRで癒合傾向のあるびまん性の白質異常信号を認める。
  • 脳幹、小脳歯状核周囲、中小脳脚にもT2WI,FLAIRで高信号を認めることがある。
  • 小脳虫部辺縁の高信号はparavermal signと呼ばれる。

皮髄境界にDWIで異常高信号を認める疾患

  • 神経核内封入体病(NIID)
  • 脆弱X関連振戦/運動失調症(fragile X-associated tremor/ataxia syndrome:FXTAS)

関連記事:脳MRIでDWI(拡散強調像)で高信号を見たときの鑑別診断は?

症例

臨床神経 2021;61:727-732

DWIで皮髄境界に異常高信号を認め、脳梁膨大部 と両側中小脳脚にも高信号像を認めている。

またこれらの所見が経時的に増大しており、神経核内封入体病(NIID:neuronal intranuclear inclusion disease)の経過を見ていると考えられます。

参考文献:

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