先に結論:上腕骨頭の嚢胞と腱板断裂
- 上腕骨頭の嚢胞はできる場所で意味が違い、大結節の後方の嚢胞(posterior cyst)は成人によく見られ、腱板断裂とは関係がないとされます
- 一方、前方(大結節の前部・棘上筋腱の付着部付近)の嚢胞(anterior cyst)は腱板断裂と関連があると報告されています
- X線・MRIで上腕骨頭の嚢胞を見たら場所を確認し、前方の嚢胞なら腱板(特に棘上筋腱前部)の断裂を注意して探します
- 「肩の骨に穴がある」と言われる多くは、この大結節の小さな嚢胞です
上腕骨頭の嚢胞と腱板断裂の関係
上腕骨頭に認める嚢胞(bone cyst)には上腕骨頭の中でも背側(posterior cyst)に認めるものと腹側(anterior cyst)に認めるものがある。
posterior cyst
- 大結節の後方に認める骨嚢胞。
- 腱板疾患で手術を受けた成人238例のMRIでは56.7%に見られ、年齢や腱板断裂とは相関がない(Fritz 2007)。
- MR関節造影120例でも70%に大結節の嚢胞があり、後方は前方の7倍多く、94%が関節腔と交通していた(Williams 2006)。
症例 30歳代男性(テニス選手の後上方インピンジメント)

引用:Radiopaedia(Internal impingement of the shoulder)
後方の肩の痛みがあるテニス選手の肩関節MRIです。上腕骨頭の後上方、棘下筋腱の上部線維の付着部の下に小さな嚢胞が集まってみられます(白矢印)。この症例では棘下筋腱の下面のほつれや後上方の関節唇のほつれも伴い、後上方(インターナル)インピンジメントと考えられています。
anterior cyst
- 大結節の前方(棘上筋腱付着部付近)に認める嚢胞。
- 腱板断裂と相関があると報告されている。前方嚢胞は238肩中22.7%に見られ、特に関節面側の部分断裂に多い(関節面側48%、滑液包面側13%)と報告されている(Fritz 2007)。
「肩の骨に穴がある」と言われたら?(Q&A)
MRIで見つかる上腕骨頭の小さな嚢胞は珍しくなく、後方の嚢胞は年齢や腱板断裂と関係のない所見とされます(Fritz 2007、Williams 2006)。前方の嚢胞では腱板断裂の有無を確認します。肩の痛みや腕の上げにくさなど気になる症状があれば、整形外科などの医療機関に相談してください。
関連記事:腱板断裂のMRI画像診断のポイントは?
参考文献:
- Fritz LB, Ouellette HA, O’Hanley TA, et al. Cystic changes at supraspinatus and infraspinatus tendon insertion sites: association with age and rotator cuff disorders in 238 patients. Radiology. 2007;244(1):239-48. PubMed
- Williams M, Lambert RG, Jhangri GS, et al. Humeral head cysts and rotator cuff tears: an MR arthrographic study. Skeletal Radiol. 2006;35(12):909-14. PubMed
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