単純CTで腎臓を観察していると、両側の腎錐体、あるいは腎髄質がやや高吸収に見えることがある。

この所見はwhite pyramid signdense renal medulla sign(DRM sign)、あるいはhyperdense renal pyramids signなどと呼ばれる。

重要なのは、これが必ずしも病的所見ではなく、健常人でも認められることがあるという点である。したがって、単純CTで腎錐体が高吸収に見えた場合に、ただちに腎結石、腎石灰化、尿管結石などと判断しないよう注意が必要である。

white pyramid sign / dense renal medulla signとは

white pyramid signとは、単純CTにおいて腎髄質、特に腎錐体が皮質よりも相対的に高吸収に見える所見である。

腎錐体は三角形ないし錐体状の構造として描出されるため、単純CT上で白く目立つと「white pyramid」と表現される。

この所見は、腎髄質内の尿濃縮、尿浸透圧上昇、尿細管内の物質濃縮などを反映していると考えられている。

健常人でも認められることがある

単純CTで両側腎錐体が高吸収に見える場合、まず押さえておきたいのは、健常人でも偶発的に見られることがあるという点である。

特にスクリーニング目的の単純CTや、尿路結石検索目的の単純CTで偶然認められることがある。

両側性かつ対称性に腎錐体が淡く高吸収を示し、明らかな結石、尿路閉塞、水腎症、腎機能障害、感染徴候などを伴わない場合には、病的意義に乏しい所見として扱えることが多い。

症例 20歳代男性 スクリーニング

単純CTにおいて両側腎錐体に高吸収を認めています。

dense renal medulla sign / white pyramid signに相当する所見で、脱水や尿濃縮などで見らており、病的意義はないと考えられた症例です。

原因・関連する病態

white pyramid sign / dense renal medulla signは、以下のような状態で認められることがある。

  • 脱水
  • 高ナトリウム血症
  • 高タンパク食
  • 糖尿・尿浸透圧上昇
  • 副腎不全
  • 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)
  • カフェイン過剰摂取
  • 高用量抗菌薬投与後
  • 副甲状腺機能亢進症
  • 髄質海綿腎
  • 髄質嚢胞性疾患
  • 腎結核
  • 鎌状赤血球症
  • 腎乳頭壊死
  • 高尿酸血症

この中で日常診療上よく意識すべきなのは、脱水や尿濃縮に伴う一過性の腎髄質高吸収である。

脱水との関係

腎髄質は尿濃縮に関与する部位であり、脱水や尿浸透圧上昇により腎髄質の吸収値が上昇することがある。

文献的にも、脱水状態では単純CTで腎髄質が高吸収となり、水分補正後にその高吸収が消失することが報告されている。

そのため、両側性・対称性に腎錐体が高吸収を示す場合には、画像所見だけで病的石灰化と断定せず、臨床的な脱水の有無、尿比重、尿浸透圧、腎機能、電解質などをあわせて判断する必要がある。

腎結石・腎石灰化との鑑別

white pyramid signで最も問題になるのは、腎結石や腎石灰化症との鑑別である。

腎結石は通常、腎杯、腎盂、尿管など尿路内に限局した結節状・点状の高吸収として認められる。一方、white pyramid signでは腎錐体そのものが三角形ないし錐体状に淡く高吸収を示す。

また、腎石灰化症では腎髄質に石灰沈着を来し、髄質部に高吸収が分布するため、white pyramid signと紛らわしいことがある。

鑑別のポイントは以下である。

  • 形状:結石は点状・結節状、white pyramid signは錐体状・三角形状に見えることが多い。
  • 分布:white pyramid signは両側性・対称性に見られることが多い。
  • 濃度:結石や石灰化は明瞭な高吸収であることが多いが、white pyramid signは比較的淡い高吸収であることが多い。
  • 超音波所見:腎石灰化症では髄質錐体が高エコーを示すことがあるが、dense renal medulla signでは超音波で明らかな異常を伴わないことがある。
  • 経時変化:脱水補正や水分摂取後に消失・軽減すればwhite pyramid signを支持する。

片側性・左右差がある場合は尿路閉塞に注意

両側性・対称性のwhite pyramid signは、健常例や脱水などで見られることがある。

一方で、左右差がある場合、特に片側でwhite pyramid signが目立たない、あるいは片側のみ分布が異なる場合には、尿路閉塞との関連を考慮する必要がある。

急性尿管閉塞では、閉塞側の腎髄質濃縮が変化し、左右差として表れることがある。そのため、片側性の所見として見える場合には、尿管結石、水腎症、腎周囲脂肪織濃度上昇、腎腫大などの二次所見を慎重に確認する。

読影での実践的な見方

単純CTで腎錐体・腎髄質が高吸収に見えた場合は、以下の順に確認するとよい。

  1. 両側性か、片側性かを確認する。
  2. 対称性か、左右差があるかを確認する。
  3. 高吸収が腎錐体の形状に一致しているか、結石様の点状高吸収かを確認する。
  4. 尿管結石、水腎症、腎周囲脂肪織濃度上昇など尿路閉塞を示唆する所見がないか確認する。
  5. 腎石灰化症、髄質海綿腎、腎結核、腎乳頭壊死などを示唆する所見がないか確認する。
  6. 脱水、糖尿、高ナトリウム血症、薬剤投与歴などの臨床情報を確認する。

レポート記載例

病的意義が乏しいと考えられる場合には、以下のように記載できる。

両側腎錐体に淡い高吸収を認めます。dense renal medulla sign / white pyramid signに相当する所見で、脱水や尿濃縮などで見られることがあります。明らかな尿路結石や水腎症は認めません。

より簡潔に記載するなら、以下のような表現でもよい。

両側腎錐体の淡い高吸収あり。white pyramid signとして矛盾しません。明らかな尿路結石・尿路閉塞所見はありません。

一方、左右差があり尿路閉塞が疑われる場合には、以下のように記載する。

腎髄質高吸収に左右差を認めます。尿路閉塞に伴う変化の可能性があり、同側尿管結石や水腎症などの有無をあわせて評価してください。

まとめ

  • 単純CTで腎錐体・腎髄質が高吸収に見えることがある。
  • この所見はwhite pyramid sign、dense renal medulla sign、hyperdense renal pyramids signなどと呼ばれる。
  • 健常人でも認められることがあり、安易に腎結石や腎石灰化と判断しないことが重要である。
  • 脱水、尿浸透圧上昇、高ナトリウム血症、糖尿、SIADH、薬剤、高カフェイン摂取などが関連する。
  • 鑑別で重要なのは、腎結石、腎石灰化症、髄質海綿腎、腎結核、腎乳頭壊死などである。
  • 両側性・対称性で他に異常がなければ病的意義に乏しいことが多い。
  • 片側性・左右差がある場合には尿路閉塞の二次所見を確認する。

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出典

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  2. Tublin ME, Tessler FN, McCauley TR, Kesack CD. Effect of hydration status on renal medulla attenuation on unenhanced CT scans. American Journal of Roentgenology. 1997;168:257-259.
  3. Starinsky R, Barr J, Lushkov G, Segal M, Manor A, Golik A. CT of renal densities caused by intravenous infusion of antibiotics. Journal of Computer Assisted Tomography. 1995;19:228-231.
  4. Dalrymple NC, Casford B, Raiken DP, Elsass KD, Pagan RA. Pearls and pitfalls in the diagnosis of ureterolithiasis with unenhanced helical CT. Radiographics. 2000;20:439-447.
  5. Radiopaedia. White pyramid sign (kidney).

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