石灰沈着性腱板炎/石灰性腱炎(calcific tendinitis)
- 腱板に沈着したハイドロキシアパタイト結晶を主体としたリン酸カルシウム塩によって誘発される炎症性変化。
- 原因不明の疾患で棘上筋腱(80%)に好発する。
- 3割程度で有症状で、急性炎症による強い疼痛が見られる。
- 症状や夜間に強いことが多い。
- 腱内の石灰沈着が滑液包に破綻して滑液包炎を来すことが痛みの原因と考えられている。
- 28%の症例で腱板断裂の合併が見られたと報告されている。
石灰沈着性腱板炎/石灰性腱炎の画像所見
- レントゲンやCTで腱板石灰沈着を確認できれば診断は容易。
- 急性期には大型の淡い石灰化、慢性期には比較的小さく辺縁明瞭な石灰化として認めることが多い。
- MRIでは腱板内の石灰化はT1WI低信号、T2WI低信号で、T2*WI、SWIでより明瞭な低信号となる。(T2*WI、SWIは石灰化の検出に優れている。)。レントゲンで石灰化がはっきりせず、MRIのみで認められることもあるので注意。
- 脂肪抑制T2WIでは炎症性変化を反映して、石灰沈着部周囲の軟部組織信号が上昇する。
症例40歳代女性
肩関節レントゲンで右棘上筋腱付着部に石灰化を認めており、石灰沈着性腱板炎を疑う所見です。
MRIではT1WI,脂肪抑制T2WIともに低信号として同定できます。
石灰沈着性腱板炎と診断されました。
関節周囲に石灰化を来す疾患1)
- 石灰沈着性腱板炎/滑液包炎
- 副甲状腺機能亢進症あるいは腎性骨異栄養症:関節近傍に腫瘤状石灰化
- 強皮症や皮膚筋炎などの膠原病:筋肉、皮膚、関節周囲など広汎な石灰化
- ピロリン酸カルシウム結晶沈着症:関節軟骨、半月板、関節周囲の石灰化
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参考文献:
- 1)画像診断別冊 KEY BOOKシリーズ 骨軟部疾患の画像診断 第2版 P170-171
- 臨床画像 Vol.38 No.2 2022 P130-133
- 画像診断 Vol,33 No.2 2013 P171