脾動脈瘤(splenic artery aneurysm)
- 腹部内臓動脈瘤で最多で、6割を占める。
- CTAでの診断が有用。CTで偶然見つかることが多い。
- 壁のみでなく全体的に石灰化を来たし、石灰化腫瘤として認めることもある。
- 形状は嚢状であり、脾動脈の遠位1/3に好発する。
- 動脈瘤の発生因子は、多産、門脈圧亢進症、動脈のfibrodysplasia、高血圧、動脈硬化など。
- 他の動脈瘤とは異なり、男女比は1:4と女性に多い。
- 脾動脈瘤の破裂の頻度は生涯で2-10%、破裂後の死亡率は20-36%と報告されている。
- 破裂は特に、妊娠中や門脈圧亢進のある人に多い。
- 治療の適応は、有症状、妊娠、瘤径2cm以上、増大傾向、肝移植前と報告されている。
- 治療は、IVRで金属コイルを用いた塞栓術が第1選択。以前は外科的に動脈瘤の結紮術や瘤の切除なども行われていた。
症例 50歳代男性
脾動脈末梢に嚢状の動脈瘤を認めています。
長径は2cm大で、門脈圧亢進があるため、IVRにてコイリング治療が施行されました。
参考:
- 腹部のCT(第3版) P304
- 肝胆膵の画像診断 P467
- レジデントのための腹部画像教室 P184-185