尺骨突き上げ症候群とは?(ulnolunate abutment syndrome)
- TFCの変性には尺骨と月状骨または三角骨の慢性的な衝突が関与している。(関連:手根骨の解剖)
- ulnar impaction syndromeなどとも呼ばれる。
- 尺骨が橈骨に比べて長い例(positive ulnar variance、ulna plus variant)に起こることが多いが、短い場合や差がない場合にも起こることがある
- スポーツや労働作業による負荷が原因となることがある。
- 尺骨頭が月状骨や三角骨、TFCに衝突し、手関節尺側部痛を来す。
- 早期にはTFCの変性が見られ、進行すると尺骨頭や月状骨近位部の変性を来したりTFC断裂を来す。
- 月状骨、三角骨の近位側、尺骨遠位端に骨硬化または嚢胞性変化を来す。
尺骨突き上げ症候群の画像診断は?
単純X線写真
- 尺骨が橈骨に比べて長い。
- 月状骨や三角骨、尺骨頭に硬化像や嚢胞変性を認めることがある。
症例 50歳代女性
尺骨のやや高位あり。
術後のCT及びレントゲンは以下。
手関節MRI
- 月状骨の尺側、三角骨の橈側、尺骨遠位端に軟骨下骨を主体の骨髄浮腫、嚢胞性変化、硬化像を認める。
症例 50歳代女性 上と同様の症例
月状骨に骨挫傷を認めています。
またTFCC損傷を認めています。
尺骨突き上げ症候群による、TFCC損傷を疑う所見です。
症例 40歳代男性 右手関節尺側部痛
月状骨の骨硬化を認めています。
TFCCは尺骨付着部付近にて異常高信号を認めており、損傷が疑われます。
尺骨突き上げ症候群による、TFCC損傷を疑う所見です。
参考記事:逆に尺骨が橈骨より短い場合は、キーンベック病を起こすことも→キーンベック病とは?MRI画像診断のポイントは?症状、原因、分類(Kienböck病)は?