奇静脈弓とは?
- 奇静脈弓とは、奇静脈が気管の右側を回って上大静脈の後縁に合流する部分のこと。
- レントゲンでは右気管傍線に連続して右気管気管支角に涙滴状の陰影として認められる。
- 立位吸気時には、通常、径5(7)mm以内が正常であり、10mmを超えるものは異常。
- 拡大している場合は、右心不全や下大静脈欠損兼奇静脈連結、Budd-Chiari症候群、門脈圧亢進、奇静脈弁機能不全などを考慮する必要がある。
実際のレントゲンで奇静脈弓の場所を確認してみましょう。
症例 30歳代男性
上のように奇静脈弓は右気管気管支角(右気管支が分岐するところ)に涙滴状の陰影として認めます。
正常だとちょっと指摘もしにくいですね。
上の画像は、胸部レントゲン画像診断ツールで用いているものと同じものです。
では次にこの奇静脈弓が突出している例を見てみましょう。
症例 40歳代女性
奇静脈弓が1.5cm大に拡大しています。
続いてCTが撮影されました。
すると、気管分岐部やや右側後方に単房性嚢胞性病変を認めており、これが奇静脈を右側に圧排していることがわかります。
嚢胞は部位および性状から気管支原性嚢胞が疑われます。(手術は施行されていませんので確定診断ではありません。)
この嚢胞が奇静脈弓を突出させていた原因だと言うことが分かります。
関連:
参考:
画像診断 Vol.31 No.10 2011 P1068-1069
単純X線写真読影のためのキーワード201 P97
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