結節性硬化症(Pringle病)とは?
- 常染色体優性遺伝だが半数以上は突然変異により発症。
- 他臓器に過誤腫性病変が発生する神経皮膚症候群。
- TSC1(染色体9番)とTSC2(染色体16番)の異常。
- 古典的三徴はてんかん発作、精神発達遅滞、顔面血管線維腫。ただし、精神発達遅滞は半数程度のみに認める。
- 皮膚病変、脳病変、眼病変(網膜過誤腫)、心筋横紋筋腫、腎病変(腎血管筋脂肪腫、腎嚢胞、腎癌)、肺病変(肺リンパ脈管筋腫症)など全身に病変を認める。
- 皮膚病変では、葉状白斑、顔面左右対称の皮脂腺腫、爪下の線維腫(Koenen腫瘍)を認めることがある。
- 脳病変では、
- 上衣下結節(subependymal nodule)
- 皮質結節(cortical tuber)
- 白質病変
- 上衣下巨細胞性星細胞腫(giant cell astrocytoma)
を認める。
結節性硬化症の画像所見
- 上衣下結節(subependymal nodule):側脳室に沿った不整な小結節。年齢とともに石灰化を認める。髄鞘化が進行していない段階では、T1WIで高信号、T2WIで低信号を認める。
- 皮質結節(cortical tuber):大脳皮質下にT2WIで高信号を示す1-2cmの病変として認められる。
- 上衣下巨細胞性星細胞腫(giant cell astrocytoma):Monro孔近傍に発生する。増大傾向を示し、大きなものは水頭症をきたす。好発年齢は5-10歳。WHO gradeⅠ。
症例 30歳代男性
脳室周囲に石灰化を認めています。
結節性硬化症における上衣下結節を疑う所見です。
上と同様です。
上衣下結節はT2強調像で低信号を示しています。
続いてFLAIR像です。
FLAIR像では、皮質下に異常な高信号が散見されています。
結節性硬化症における皮質結節を疑う所見です。
症例 30歳代女性 頭痛
右モンロー孔の近くに、分葉状の鮮明に増強する腫瘤あり。
手術が施行され、上衣下巨細胞性星細胞腫(giant cell astrocytoma)と診断されました。
引用:radiopedia