ヘモクロマトーシス(Hemocromatosis)
- 遺伝性疾患の鉄過剰症(腸粘膜からの鉄の過剰吸収)をヘモクロマトーシスとし、その他は二次性鉄過剰症とされる。
- 二次性鉄過剰症の原因は、頻回輸血、過剰な鉄剤投与、無効造血を伴う貧血、血管内溶血、門脈-下大静脈シャントなど。
- 鉄過剰症は、多臓器(肝、脾、骨髄、膵、腎臓、心臓、関節、皮下、精巣、下垂体など)に鉄沈着を来す。
- いずれも肝硬変、糖尿病、皮膚色素沈着、心不全の原因となる。
- 鑑別:無セルロプラスミン血症など
ヘモクロマトーシスの画像所見
- 肝臓CT値の上昇(75-130HU以上)。エコーでは高輝度になる。
- MRIではT2WI(T2*WI)の肝臓の信号低下。
- 鉄沈着は脂肪と逆でout of phaseからin phaseにかけて信号低下を認める。
- 膵の信号は原発性と二次性の鑑別には役立たない。
- 脳では血液脳関門が欠如した部位(下垂体前葉、脈絡叢、松果体)に鉄が沈着し、低ゴナドトロピン性性腺機能低下症など臓器障害を起こす。
症例 60歳代 男性 ヘモクロマトーシスでフォロー
Out of phaseからIn phaseにかけて、肝臓の低信号がびまん性に増強している(全体的に黒くなっている)。肝臓にびまん性の鉄の沈着を示唆する所見であり、ヘモクロマトーシスに矛盾しない所見です。
(脂肪肝の場合はIn phaseからOut of phaseにかけて信号低下を来す。)