Osgood-Schlatter病(オスグッドシュラッター病)とは?
- 10〜14歳の主に男児の発育期のスポーツ障害の代表的疾患。
- 脛骨粗面に痛みや圧痛を有し、局所の腫脹を伴う。
- 膝の屈伸運動で最も重要な働きをなす大腿四頭筋は、脛骨近位の前面にある脛骨粗面に付着(停止)する。バレーボール、バスケットボール、走り高跳びなどのジャンプする(跳躍型)スポーツでは膝の屈伸を繰り返すため、この脛骨粗面に強い負荷がかかる。
- 成長期での上記スポーツ障害でオーバーユーズによる。
- 長期にスポーツ活動を休止せざるをえない場合もあるため、早期発見、早期安静保存療法が必要。
- 受診時には、既に遊離骨片を有した終末期であることが多く、この場合は完全治癒が見込めない。
- 腔骨粗面の骨化が終了すれば、症状は消退するが、遺残変形の強い場合はさらに長 期にわたり症状が遷延する場合がある。
Osgood-Schlatter病の画像診断
- 単純X線写真で脛骨粗面部の不整像、軟骨性膨隆、遊離骨片が見られる場合は、診断が比較的容易。
- ただし、病初期は、レントゲンで脛骨粗面部の変化を捉えることは困難で、MRIが有用。
Osgood-Schlatter病のMRIの病期分類
- 病期は初期(early stage)、進行期(progressive stage)、終末期(terminal stage)、治癒期(healing stage)に分類される。
- 初期:正常もしくは、脛骨粗面周囲の浮腫像(STIRで高信号)。
- 進行期:脛骨粗面の骨または軟骨の部分的剥離像を示す(脛骨粗面前方に明瞭な亀裂が入り、その前方部が上方に牽引され、貝殻状の剥離像を示す。)
- 終末期:完全に分離した骨片の形成が成される(T2強調像では、骨片の低信号の周囲が高信号で描出される)。
- 治癒期:発症後、骨性の治癒機転により骨片を形成せずに治癒したもの。
症例 9歳女児 特に運動の後の膝の痛み
引用:radiopedia
脛骨粗面に骨髄浮腫を認め、前脛骨骨端にまで及ぶ。 隣接する膝蓋下脂肪体(Hoffa‘s fat pad)にも高信号を認め炎症の波及が示唆される。
Osgood-Schlatter病に典型的な所見です。
症例 40歳代男性 Osgood病の既往あり
脛骨前面に遊離した骨片を複数認めています。
終末期のOsgood-Schlatter病に合致する所見です。
動画でチェックする。
Osgood-Schlatter病の治療
保存療法
- スポーツの休止。特にMRI上で骨片の形成が明らかでない場合は、終末期に移行させないために、保存療法をすすめる。
- 骨片を形成せずに分離部が癒合すれば、1ヶ月強でスポーツを再開できる。
- 骨片を形成した場合は、保存療法で痛みは軽快するが、違和感や痛みが長期間続く事が多い。
手術療法
- 骨片周囲の炎症や滑液包炎などで疼痛が続く場合は、遊離骨片の摘出術が行なわれる。
irregular tibial tuberosity(脛骨粗面不整)とは?
- 脛骨近位が成長期においてepiphysis(骨端)とmetaphysis(骨幹端)が互いに骨化していく過程を示すが、13~17歳頃ではこの脛骨粗面付近が舌状の形態をとる。
- この脛骨粗面の舌状形態が不規則に誇張されて剥離骨折のように見えることがあり、これをirregular tibial tuberosityとよぶ。正常変異の一つ。
- Osgood-Schlatter病との境界は曖昧であるが、13~17歳で全く症状がない場合は、Osgood-Schlatter病といってはならない。
- Osgood-Schlatter病と異なりMRIでも異常信号を認めない。
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