膝蓋骨骨折(Patellar fracture)
- 膝関節周辺骨折の中で最も頻度が高い。全骨折の1%。
- 横骨折と縦骨折、粉砕骨折に大別される。
- 介達外力では横骨折、直達外力では粉砕骨折が多い。
- 縦骨折が12-17%、横骨折が50-80%、粉砕骨折が30-35%。
- 関節内血腫の原因となる。
- 二分あるいは三分膝蓋骨は成長期の癒合障害であり、骨折ではない。正常変異。膝蓋骨の近位外側1/4に好発。通常は両側性。
膝蓋骨の画像診断のポイント
- レントゲンの正面像では膝蓋骨と大腿骨が重なり評価が困難なことが多い。
- 横骨折では側面像が有用。
- 縦骨折の見逃しを減らすために膝関節を90°屈曲した状態で撮影を行うスカイライン撮影(sunrise viewsとも呼ばれる)が有用。
膝蓋骨横骨折
- 膝の急激屈曲→大腿四頭筋の緊張により、膝蓋骨が上下に引き離される。
- そのため骨片は大きく転位することが多い。
- その離開の程度で治療法が選択される。離開が少ないものは保存的治療。大きいものは、観血的整復固定法(ひきよせ鋼線締結法)
症例 40歳代男性 階段より転倒
膝蓋骨粉砕骨折
- 転倒や交通外傷など前方からの直達外力により粉砕するが、横骨折のように、上下に引き離されることはなく、骨片はその場に留まることが多い。
- 開放骨折が多い。
症例 30歳代男性 交通外傷 開放骨折あり。
膝の外傷の鑑別診断
- 骨折(大腿骨、脛骨、腓骨)
- 靭帯損傷(前・後十字靭帯、内側・外側側副靭帯)
- 半月板(内側・外側)
- 膝蓋骨骨折・脱臼
- 関節包損傷
- 大腿膝蓋関節障害
- 鵞足炎
- 棚障害
参考文献:
- 臨整外 56巻5号 2021年5月 P562-563
- 骨折ハンター P238-240
- レジデントノート Vol.21 No.17(増刊)2020 P166-171