膵癌の病期診断

外科手術適応禁忌をまず確認。

  • 他臓器転移(肝、腹膜、肺、骨、その他)
  • 傍大動脈リンパ節転移
  • SMA,CA,CHA,SPA根部周囲浸潤
  • PV,SMV,SPVの全周性狭窄

がないかをまず確認する。あれば、オペは禁忌。

膵癌の局所浸潤について

局所浸潤度因子(膵癌取り扱い規約)

  • 膵内胆管浸潤(CH)
  • 十二指腸浸潤(DU)
  • 膵前方組織浸潤(S)
  • 膵後方組織浸潤(RP)
  • 門脈系浸潤(PV)
  • 動脈系浸潤(A)
  • 膵外神経叢浸潤(PL)
  • 多臓器浸潤(OO)

8つの局所浸潤因子について評価する。

膵癌取扱規約第7版から、癌の浸潤の有無を0,1で表記する。

例)十二指腸浸潤 DU0:なし、DU1:あり。 という意味。判定不能はDUXと表記する。

8つもあるんですか?
8つあります。ただし・・・・

実際の臨床で最も重要なのは切除可能か否かと術式選択に関する因子がわかればよいので、極論ではありますが、

  • 動脈系浸潤(CA、CHA、SMA)
  • 門脈系浸潤(PV、SMV)

の有無を正確に診断すればよいということになります。

それなら少し気が楽になりました。でも、血管浸潤ってどうやって評価するのですか?腫瘍が接していたら血管浸潤ですか?

血管への局所浸潤(PV,A)

  • 血管の高度狭窄や閉塞あれば浸潤ありとの診断可能。
  • 明らかな狭窄がない場合は、
    門脈系→「癌と血管の接触範囲が半周以上」(感度84%、特異度98%)
    動脈系→「腫瘤がCAもしくはSMAと接している以上」(膵癌取扱規約第7版 T4に相当)

場合に、血管浸潤ありと診断する。

動脈根部周囲には神経叢があり、これらへの浸潤は同時に神経浸潤を意味する。厳密には動脈浸潤と神経浸潤は別である。

症例 70歳代男性 膵鉤部癌

pk artery invasion ct findings

ダイナミックCTの第2相の横断像です。

SMAを全周性に取り囲む膵腫瘍を認めています。腫瘍は腹部大動脈にも接しています。

膵癌取扱規約第7版 T4に相当します。

症例 80歳代男性 膵頭部癌(浸潤ありはとは言えない症例)

pkhead1

膵頭部に低吸収腫瘤を認めています。

腫瘤はSMVに接していますが、半周以下です。

ですので、SMVへの浸潤ありとは言えない症例です。

症例 50歳代男性 膵頭部癌(GDAへの浸潤あり。CAはなし)

panceratic headcancer

膵頭部にhypovascularな腫瘍性病変あり。

胃壁〜十二指腸への進展あり。

GDAは狭細化を認めており、全周性のencasementあり。ですので、GDAへの浸潤がありと言えます。

膵体部〜尾部にかけて主膵管の拡張あり。

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