膵外神経叢とは
膵周囲には複数の神経叢が存在しており、膵外神経叢(PL)として7つに分類している。
- 膵頭神経叢第Ⅰ部・第Ⅱ部(PLphⅠ,Ⅱ)
- 上腸間膜動脈神経叢(PLsma)
- 総肝動脈神経叢(PLcha)
- 肝十二指腸間膜内神経叢(PLhdl)
- 脾動脈神経叢(PLspa)
- 腹腔神経叢(PLce)
と呼んでいる。
これら神経叢はお互いがネットワークを形成している。
この中で膵頭部癌において特に重要となるのは膵神経叢第Ⅰ部・第Ⅱ部(PLphⅠ,Ⅱ)である。
なかでも特に、膵頭神経叢第Ⅱ部は両側腹腔神経節から上腸間膜動脈神経叢を経て鉤状突起の左縁に連なるものであり、膵癌の再発や予後を規定する重要な神経叢として位置づけられている。
そのため、膵癌取扱規約第7版では、膵神経叢第Ⅰ部・第Ⅱ部(PLphⅠ,Ⅱ)のみが膵外神経浸潤での評価ポイントとなった。
膵外神経叢浸潤(PL)
腫瘍近傍であれば局所と考えることもできるが、SMA,CA,CHA,SPA根部周囲に神経浸潤の所見がある場合は、動脈自体にencasement(包み込むこと→浸潤し狭窄している)がなくても手術による根治は望めない。
膵外神経叢浸潤の画像診断
CTにおいてはSMA根部、CA根部、CHA、SPA周囲の脂肪織濃度の上昇に注意する。→膵頭部内背側領域(膵鉤部とSMA/CAの間)をチェック。正常だと脂肪濃度だけ。
全周性に動脈周囲神経浸潤を来しているものを「ちくわサイン」と称し、外科手術適応外の所見と考える。
下膵十二指腸動静脈、第一空腸静脈幹の変化(閉塞、狭小化)をチェック。偽陽性が少ないと言われる。