腸恥滑液包炎(iliopsoas bursitis)

  • 滑液包炎とは? 骨盤周囲には多くの滑液包が潜在するが、機械的刺激や感染により炎症が生じた状態が滑液包炎。主なものとして、腸恥滑液包炎、転子滑液包炎、坐骨滑液包炎等がある。
  • iliopsoas bursa(腸恥滑液包)は、股関節の腹側に潜在的に位置する滑液包
  • その前方は腸腰筋、後方は腸恥隆起、内側は臼蓋関節唇、頭側は鼠径靭帯、尾側は恥骨大靭帯で境されている。
  • 正常人の15%において、この滑液包は股関節と交通している。
  • 股関節の内圧が高まるような病態において、腸恥滑液包には関節液が多量に貯留し、膨隆する。時には骨盤内にまで入り込んだ腫瘤を形成することもある。
  • 逆に、骨盤内に発生した嚢胞性疾患(例えば膿瘍やリンパ嚢胞)が、まれに股関節腹側にまで進展し、この滑液包に酷似することがあり、注意を要する。
  • 腸恥滑液包の膨隆を惹起する最も多い原因疾患は変形性関節症であり、他に、関節リウマチ、結核性・化膿性股関節炎、色素性絨毛結節性滑膜炎、滑膜骨軟骨腫症などがある。
  • 時に充実性病変に酷似する所見を呈し、鼠径部のリンパ節腫大などと紛らわしいことがあるので注意する必要がある。

こちらにも詳しくまとめました→腸恥滑液包炎の原因や治療法は?MRI画像と共に解説

症例 70歳代男性

iliopsoas bursitis

両側股関節周囲に滑液包への液体貯留多数あり。

症例 50歳代男性

iliopsoas bursitis

右側股関節周囲に滑液包への液体貯留多数あり。

ご案内

腹部画像診断を学べる無料コンテンツ

4日に1日朝6時に症例が配信され、画像を実際にスクロールして読影していただく講座です。現状無料公開しています。90症例以上あり、無料なのに1年以上続く講座です。10,000名以上の医師、医学生、放射線技師、看護師などが参加中。

胸部レントゲンの正常解剖を学べる無料コンテンツ

1日3分全31日でこそっと胸部レントゲンの正常解剖の基礎を学んでいただく参加型無料講座です。全日程で簡単な動画解説付きです。

画像診断LINE公式アカウント

画像診断cafeのLINE公式アカウントで新しい企画やモニター募集などの告知を行っています。 登録していただくと特典として、脳の血管支配域のミニ講座の無料でご参加いただけます。