大腿骨頭壊死(AVN:avascular necrosis of the femoral head)

  • 成人の大腿骨頭が阻血性壊死を起したもの。骨端の骨壊死では、病変に二次性の骨折や骨吸収が生じ、関節破壊に至ることがあるため臨床的に重要。(骨幹部の場合は臨床上大きな問題となることは少ない。)
  • 原因は、ステロイド、アルコール多飲、全身性エリテマトーデス(SLE)、高脂血症、高尿酸血症、大腿骨頸部骨折、放射線治療など。
  • 大腿骨頸部骨折や放射線治療など先行する原因がはっきりしているもの(症候性大腿骨頭壊死)と、ステロイドやアルコール多飲といった特発性のものに分けられる。
  • 30〜40歳代に好発。男女比3:1。
  • 大腿骨頭の血流障害を来すメカニズムとして、動脈損傷、塞栓、骨髄内圧の上昇、血管炎、静脈灌流の障害などいくつもの説が提唱されているが確立されたものはない。
  • 両側発生が少なくない。しばしば急性疼痛で発症。
  • 骨端病変を壊死といい、骨幹端や骨幹の場合は梗塞と表現されることが多いが両者は同じものを見ていると考えられている。
  • 将来的に変形性股関節症を来す。
  • 治療は手術的療法。大腿骨頭回転骨切り術、人工骨頭置換術。
  • 大腿骨術後に大腿骨頭壊死を起こすことがあり、大腿骨頚部の内側骨折・転位が大きいタイプ、骨接合術で手術されたタイプで多い。他、高齢者、喫煙者、大量飲酒、ステロイド使用、DMやASOなどの血管障害を持っている患者でより頻度が多くなる。

大腿骨頭壊死の画像所見は?

レントゲン所見

  • 早期は診断困難。
  • ある程度進行すると骨壊死に対する骨頭内の帯状骨硬化像、壊死部の骨吸収(透亮像あるいは嚢胞性変化)、壊死部の脆弱化による骨折および圧潰を来す。
  • 壊死に伴う骨折は関節面直下の軟骨下に起こりやすく、軟骨下骨に円弧状に走向する線状透亮像として認められる(crescent sign)。

症例 20歳代男性 右股関節痛

右大腿骨頭に骨硬化あり、その内部は骨吸収を認めています。

CT所見

  • 骨頭の帯状硬化像、骨透亮像
  • 軟骨下骨の線状透亮像(Crescent sign)

MRI所見

  • 早期の診断に有用。
  • 脂肪抑制T2WIやSTIRで骨頭~頚部骨髄浮腫を伴うことがしばしばある。壊死骨周囲に見られ、壊死骨には認められない(壊死骨をspareして認められ、その点が他の疾患との鑑別点ともなる)。骨髄浮腫は股関節痛、関節液貯留と相関があり、壊死骨圧潰、その進行に先行することがわかっている。
  • T1WI、T2WIでは骨頭内帯状低信号域として認める。壊死を取り囲むようにできた修復反応層を見ている。
  • T2WIでは低信号縁の内側に高信号縁が見られ、二重線縁(double line sign)を認めることがあり、大腿骨頭壊死に特徴的(65-85%で認める)。(高信号は肉芽組織を低信号は硬化性変化を反映している。ただしChemical shift artifactも関与していると報告あり。)
  • 造影MRIで壊死部に造影効果を認めない。この点は大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折との鑑別にも重要。

症例 20歳代男性 右股関節痛 上記レントゲンと同一症例

両側大腿骨頭部にT1WIおよびT2WIにて異常な低信号の線あり。

T2WIにおける二重線縁(double line sign)ははっきりせず。

STIRには大腿骨頭部に高信号あり、骨髄浮腫あり。

両側の大腿骨頭壊死と診断されました。

症例 30歳代女性

両側の大腿骨頭に、T1WIにて低信号、T2WIにて低信号縁の内側に高信号縁を認めています。

またSTIRでは異常な高信号の線を認めています。

両側に大腿骨頭壊死と診断されました。

大腿骨頭~頚部骨髄浮腫の鑑別診断

大腿骨頭の浮腫性変化の鑑別診断

 

参考文献+引用)骨軟部疾患の画像診断第2版P24-25,29

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